第17話 島田市
「行ってきます」
萌歌は祖父の仏壇に手を合わせて言うと、玄関の鍵をかけてエイプの元へ向かう。
エイプのエンジンをキック始動して暖機をすると、萌歌は国道362号線に向かって走り出す。
萌歌は地図で確認したとおり国道362号線をひたすら下っていくと、下長尾で県道263号線に入り大井川鐵道線に沿いながら萌歌はエイプを走らせた。
こうして大井川を眺めながらバイクで道路を走ったのは初めてだったので、新鮮で気持ちよかった。
順調に走って萌歌は島田市川根町身成まで来た。
萌歌は県道63号線から県道64号線に入ると島田駅の方面に進んでいく。
途中にある丹原トンネル、松ヶ瀬トンネル、新鍋島トンネルを通過するときにワンオフ製のステンレスマフラーが良い音色が反響していて気持ちいい。
県道64号線を下っていくと、ようやく住宅街が出てきて人里に降りてきたという感じがした。
家を出てから大体1時間は走っただろうか?
萌歌は島田市街のコンビニに立ち寄ると、携帯ショップの場所を確認した。
確認するとここからあと少しのところだった、愛琉はもう既に着いているだろうか。
萌歌は携帯ショップに向けて再びエイプを走らせた。
一方で愛琉は既に携帯ショップに到着して、わかりやすい場所にCB750FOURを停めると萌歌の到着を待っていた。
愛琉はサイドスタンドで立てた愛車のシートに横向きで腰掛けて寛いでいると、遠くから1台のバイクの音が聞こえてきた。
「ん?バイクの音…中型クラスの単発の音、良い音させてるわね!人違いだったか……いや!?あれはエイプだわ!萌歌なの!?」
マフラーの音には拘る愛琉ですら、中型バイクに間違える程の音圧を放ちながら萌歌のエイプが国道1号線の方向から大津通りを走ってくるのが見えた。
近づいてくるにつれて小型の100ccとは思えない太いマフラー音を響かせながら萌歌は携帯ショップに入ってきた。
萌歌は愛琉のCB750FOURを見つけると、隣にエイプを停めた。
「おまたせ、待った?」
萌歌がヘルメットを脱ぎながら言うと、愛琉は目をキラキラさせながらエイプをマジマジと見てきた。
「アタシもさっき着いたとこよ!それはそうと、めちゃめちゃ極上のエイプスペシャルじゃない!しかもマフラー何よこれ!?ワンオフのかなり高品質なステンレス使ってるじゃない!そりゃあ、あの音も納得だわ」
愛琉は舐め回すように萌歌のエイプを見ていた。
萌歌は素直に愛琉にバイクを語らせるとくそ面倒くさいなと思った。
「職場の店長が譲ってくれたんだ。それはそうと、愛琉ちゃんがくれるって言うスマホはどんなやつなの?」
萌歌がそう言うと、愛琉はリュックからスマホをとりだして萌歌に見せた。
機種はiPhone13 proで、まだまだ現役で使えるのに新型の14 proに変えてるなんて贅沢な話だ。
「さぁ、早速契約しにいくわよー!」
愛琉がそう言うと、2人は携帯ショップの店内へと入っていった。
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