第7話-A 試練!って殺す気で来るの!?
「で、これからどうするの」
私は柚来さんにこれからどうするかを聞く。すると、柚来さんは呆れた顔で答えてくれた。
「はぁ……まず変身できるようにしないといけないんだから、事伽さん達に返してもらうに決まってるでしょ」
「そうだったね、私は柚来さんみたいに頭を無駄に使わないようにしてるからわからなかったよ」
「「……」」
睨み合う私達。数秒後、同時に目を反らして取り敢えず嬉々さんに話しかけに行った。
「……なるほど、仲直りしたんだね!」
「「はい」」
面倒事が起こらないように嬉々さんには仲直りしたと報告した。こんな状況言えるわけがないもんね。
「じゃ、早速行っちゃいますか!地獄へ!!」
そう言いつつ嬉々さんは冷蔵庫を開ける。その先には何故か川があった。
「えっ!?」
「おぉ……!これも嬉々さんが作ったんですか?」
柚来さんは目を輝かせて訪ねている。好奇心旺盛と自己紹介の時に言っていた気がするけど、にしても限度はあるでしょ……。
「そ。これも私。じゃあ早く行こう!相手はいつ来てもおかしくないんだからね!!」
「おや、この前の嬢ちゃんじゃあないか。って黄坊も一緒か」
「そんな顔しなくてもいいじゃないですか、奪衣さん!」
「いや、お前の話は何一つとして理解できないんだよ!こんぴゅーたーだかろぼっとだか知らないけどさ、わからないこと何回も説明するな!」
「あ〜……それについてはすみませんでしたぁ!!」
コミカルな会話を繰り広げる二人が面白かったのか、柚希さんが吹き出す。
(やっぱり柚来さんは可愛いな……)
あの日……炎禍と出会った日から、柚来さんを目で追うようになった。巻き込まれただけなのにどうして戦うのか〜とか、あんなことがあったのによくいつも通りでいられるよな〜とか思いながら。
毎日のように見ていると、柚来さんの色んな顔を知ることができた。笑顔に真剣な顔、困り顔も。
それだけじゃなく、他の子みたいな豪快な笑い方ではなくフフッと笑うこと、結構な頻度で突然話を振られてあわあわしてること、知らない人相手にも目を輝かせて質問攻めすること……色んなことも知った。
「強い……というか、真っ直ぐだよね、ホントに」
「ん?なんか言ったー?」
どうやら声に出てたようだ。取り敢えず煽って誤魔化すことにした。
「いえいえ、何でもありませんよ難聴さん」
「あーごめんね、普段から会話してなかったらそりゃ声も出ないよね」
「「……」」
先程と同じように睨み合う私達。しかし、今度は会話が終わった二人が話しかけてきてその状況は終わる。
「ごめんね二人共。早速闘技場に向かおっか」
「「と、闘技場!?」」
どうやらさっきの言葉は冗談や例え話ではなくそのままの意味らしく、今私の目の前にはコロッセオのような建物があった。
「凄い、デカい……」
「おぉ!これはコロッセオをモチーフに?いや、コロッセオがこれを模造……まさか、コロッセオも地獄行き判決に!?」
「二人共心ここにあらずって感じだね。まぁいいや、おーい、白ぉー!!」
嬉々……黄々さんの大きな声でハッとした。そして、上から何やら声が聞こえてきた。
「おう、そっち降りるぞ!潰れろぉぉ!!」
「「っ!?」」
上から人?が降ってきたので咄嗟に後ろへ逃げる私達。その人はそのまま轟音を鳴らしつつ着地する。
「チッ、殺りそこねたか」
「真正面から戦ったら勝てないからって無防備なところを狙わないの!」
煙が薄くなっていき、その人の姿が見える。
おでこに一角、白い髪、紅く鋭い瞳。私が見たことない、新しい鬼……?
「あ、あのときの人!元気してたー?」
隣で大きく手を振って話しかける柚来さん。どうやら知り合いらしい。
「ん、お前適合した奴か。てことは、そっちの陰キャも適合した奴なのか?」
「うん、まぁ詳しく言うと適合出来なかったからリミッター外した子だけどね」
「ふーん」
「私を無視しないでぇ!!」
男性の鬼はその獣のような瞳で私をまっすぐ見据える。勿論、うるさい柚希さんの声は聞こえてないらしい。
「……俺は白。お前らがどのくらい強いか見てやらァ。あと、言っておくがアイツより弱いのはあくまでアイツが機械を使うからで、フィジカルでは俺のほうが上だ。あと、殺す気でいくから」
そう言って闘技場の入り口へ歩き出す。
「いい、柚来さん。確認しておくよ?何があっても……」
「わかってる。何があっても自分の事を最優先、でしょ」
私はコクリと頷き、柚来さんと一緒に闘技場の入り口へと向かった。
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次回へ続く
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