第3話-A ようこそ地獄へ!

「ね、ねぇ地獄って……死ねってこと!?」


「さっきからうるさいな……黙ってついてこい」


「そう言われても……」


 地獄から来たという男性に連れられて、地獄へと向かっている私。


(さっきから変なところで曲がったり、地理的に考えたらUターンしてるときもあるし……)


 もしかして、パターンで迷い込む感じなのかな?


「着いたぞ」


「え?」


 そう言われて前を見ても、川しかない。……川?こんなところにあったっけ。


「おや、シロ坊じゃないか!元気にしてたかい?」


 声がした方を見てみると、ギザ歯で白色の長髪をたなびかせた美人なお姉さんがいた。


「はいはい、元気だよ奪衣」


 奪衣……ってことは奪衣婆!?


「私、初七日迎えてないし六文銭も持ってないよ!?」


「結構物知りだな……安心しろ、あくまでお前は死んでここに来たわけじゃねぇ。俺たち地獄の者が知ってる抜け道を経由してきただけだ」


「なるほど……」


 ってことは、抜け道以外の手段で行こうとしたらやっぱり取られるのかな。


「で、何だコイツは。まさか、きぃ坊の発明品を使って適合した人間なのか?」


「チッ……そうだよ」


「ふむ。なら、急いで十王のところへ連れて行かないとな」


 私はわけがわからないまま船に乗せられ、川の向こう岸に着いた。


「歩きじゃ時間がかかるし……アイツを頼るしか無いんだよな」


 白坊と呼ばれたこの人は徐ろにスマホみたいなものを取り出す。


(地獄にもスマホあるんだ……!!)


「……ん?」


 なんか上から飛行機みたいな音が……っ!?


「なんですかあれ!!こっちに向かってきますよ!」


 ゾウぐらいの大きさの鳥が勢いよく飛んでくる音だった!飛んでくるというか、最早突進だよこれ!


 あれ?鳥の上に誰かが……黄色い髪の女性が……。


「ヤッホーシロりん!そして奇術師のお嬢さん!私は黄々!機器が大好きな機鬼だよ!」


「なんか私が知らないこと教えてくれそうっ!」




「へー!機鬼の特性を活かして電波を……!」


「そ!使い道は少ないけど、こうやって私に用事がある人は素早く回収できるのさ!……お!私の研究所が見えてきたよ!」


「サイズは普通の家ぐらいなんですね」


 例えるならアン○ンマンのパン工場みたいな感じ。


「ふふーん。ま、入ってみてよ」


「……?」




 鳥さんに優しく降ろしてもらったあと、何故か私が先頭で研究所へ入っていく。


「おじゃましまーす」


「ゆ、柚来さん!?」


「……へ?」


 そこには、クラスメイトの真城さんがいました。

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