第39話:媚薬
神暦3103年王国暦255年7月19日19時:ジャクスティン視点
俺様に実の孫を抱く気はない。
同時に、孫と娘を近親相姦させる趣味もない。
ないのだが……涙ながらに愛の告白をされ懇願されると……
「父上、成人式での愚行は、この通りお詫びさせていただきます」
ミアが俺様の事を実の父親と認め、深々と頭を下げて謝罪してくる。
言葉遣いまで目上に対する敬いが入っている。
「実戦を経験し、父上と母上の軍事政治を御側近くで拝見させていただき、自分がどれほど愚かで見栄っ張りだったか思いしりました」
やはり実戦ほどアルファを成長させる物はない。
昔ながらの教育法、躾を行う家はいいが、そうでない家のアルファは劣化する。
二十年前の対戦でアルファが激減したから、つい過保護にしてしまうのだろう。
「正直に自分の気持ちを伝えさせていただきます。
私は成人する前からジェネシスの事が好きで好きでたまりませんでした。
ジェネシスがオメガだと分かった時に、何としてもアルファに成らないと、他のアルファにジェネシスを取られてしまうと恐怖してしまったのです。
その分アルファに成れた瞬間に自制が利かなくなってしまいました」
ジェネシスのミアの婚約は典型的な政略だった。
ミアが本気でジェネシスを愛しているとは思っていなかった。
ジェネシスはミアに好意を持っていたが、成人式で台無しにしてしまった。
「全で自分の愚行が招いた事だと自覚しております。
ジェネシスに嫌われてしまった事も分かっています。
それでもこの想いを捨てる事ができないのです。
父上の御力で何とかしていただけないでしょうか?」
今更何とかと言われても、どうしようもない。
正直に言えば、孫と娘を近親相姦をさせるのも嫌だ。
だがそれ以上に、実の孫に迫られる方が嫌だ。
「人の気持ち、愛情を他人が変える事は不可能だ。
何より変えてはいけないモノだと思っている。
だが、愛情ではなく性欲を高める方法はある。
互いの子供を宿し合う事はできる。
それでもいいのなら、手を貸してやろう」
卑怯下劣な方法だと分かっているが、孫に迫られるのだけは嫌だ。
愛しい初孫だが、孫として愛しているだけだ。
ジェネシスを性欲の対象としてみる事など絶対にできない。
「それで構いません、いえ、大歓迎です。
ジェネシスの子供を宿すことができるだけでも幸せなのに、ジェネシスが私の子供を宿してくれるなんて、これほどうれしい事はありません」
今日のミアは自分の事を私と言っている。
自分では意識せずに俺から私に変わっているのだろう。
言葉の端々、全ての態度から演技でない事が分かる。
アルファに成ってからは、無理をして俺と言っていたのか?
いや、アルファの本性に振り回されていただけだろう。
本性を意識せずに抑えられるようになって、十五年間の積み重ねが上に来たのだ。
「では俺様の代わりにハーレムに行くがいい。
ハーレムの責任者が、他の女達とは独立した一角にジェネシスを案内している。
俺様のハーレムに隣接しているが、他のアルファでも立ち入れる場所だ」
「ご配慮、心から感謝させていただきます」
「それと、この薬を飲んで行け。
ジェネシスがいる部屋には、特別な香が焚き込めてある。
アルファの本能を激しく刺激して、性欲を極限まで高める効果がある。
更に妊娠しやすいようにもしてくれる」
「そのような香、聞いた事もありません」
「俺様が最近開発に成功した特別製の香だ。
アルファ、ベータ、オメガを相手に何千回も実験を重ねた。
ベータには何の効果もなく、アルファとオメガにだけ効果がある」
「重ね重ねの御配慮、感謝の言葉もありません」
「ただ、オメガのジェネシスがミアを抱けるかどうかはミアしだいだ。
ミアが積極的にジェネシスを誘導しなければ、ジェネシスは受け身一方になる。
経験がないだろうが、度胸と行動力でやり遂げろ」
「はい、お父様」
「食料はたっぷり放り込んである。
ジェネシスとミアの体力なら、七日七晩やり続けても大丈夫だ」
「はい、妊娠するまでやり続けます」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます