第16話 山

山…


皆は山って聞くと、何をイメージする?


大自然…雄大…空気が旨い…力強さを感じる…キャンプ…


まぁいろいろあるだろうか。


ただ…


俺は山って聞くと――





















神様が住んでいる場所だと思っている。





















これは俺が10才の時に体験した、怖いけれど不思議な話。



当時俺は、N県の山に囲まれたド田舎で暮らしていた。


小さいスーパーが一件、周りは田んぼや畑…外灯もほとんどなく、小学校は全児童合わせて30人と、まぁ読んでるだけでも田舎と分かるド田舎だ。


そんな田舎だから、遊ぶ場所は限られている。





















「友達A」「川で魚釣ろうぜ!」


「友達B」「いいね!やろやろ!」


「俺」「俺も俺も!」



その日も俺は山に行った。



「友達A」「コイツら…全然簡単には釣れなかったな~」


「友達B」「でも取り敢えず、夕飯1つ追加だな!」


「俺」「全部食うのか!?食いしん坊だな~」



山の中にある川から帰っていた俺達。


ほぼ毎日この山に行っていたから、全ての道や風景も完璧に分かっていた…





















筈だった――





















「友達A」「どこだ…ここ?」


気がつくと俺達は、全く知らない開けた場所へと着いていた。


「俺」「おかしい…いつもの道を辿っていたけど」


「友達B」「…!」


「友達B」「なぁ…あそこにバカデカイ木があるぞ」


「友達A・俺」「…え!?」



振り向くと…太さ5m長さ30mはある木。


けど何故か――





















「友達A」「何で桜が…今12月だろ?」


見たことがないぐらい綺麗な桜が咲いていた。


「???」「おや…」


「3人」「ッ!?」


「友達B」「木ッ!?木がしゃべった!!?」


「???」「驚かせてしまったようですね」


「俺」「――ッ!!?」





















直接脳に語りかけているような感覚だった。


「???」「君達…もう夜だから帰りなさい」


「俺」「夜?まだ昼過ぎじゃ…暗ッ!!」


「???」「今頃この辺りでは、悪い者が蠢いています」


「???」「私が麓まで送って差し上げましょう」





















「3人」「…」


気がつくと、俺達は麓に居た。


帰宅すると当然怒られ、学校で話しても誰も信じてはくれなかった。


けど、俺は思う。


アレは神様だったって…





















「???」「まだ小さすぎて…もったいないわ」


「???」「次来た時は――」





















「???」「食べちゃいましょう!」

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