第4話 友達
俺達はN県の少し都会に住んでいたことがある。
そこに過ごしていた時に起こった出来事を語ろうと思う。
俺の5才の幼稚園児の娘に、最近"友達"が出来たらしい。
俺は娘との帰りの途中、今日はどんなことがあったのか?とか、今日は何して楽しかったのか?等、引っ込み思案な娘にいろいろ聞きながら帰宅していた。
ある日の夕方でのこと――
「俺」「今日も、例のあの子と一緒に遊べた?」
「娘」「うん」
「俺」「何して遊んだの?」
「娘」「へいのすけ君とおいかけっこ!」
「俺」「へぇ~本当に仲良しなんだなぁ」
最近出来た"友達"名前は『さいとうへいのすけ』君というらしい。
「娘」「う~ん…そんなになかよくないよ」
「俺」「どうして?」
「娘」「だって、きもちわるいもん」
「俺」「こ~ら、そういうことを言わない」
どういうわけか、対して仲良しという訳ではなかった。
明くる日も明くる日も
「娘」「きょうもへいのすけ君とおいかけっこしたよ」
とか…
「娘」「きょうへいのすけ君とかくれんぼをしたの」
とか…
けど妙だ…
「俺」「…(普通そういう遊びって、複数人でやるものだろう?毎日2人だけで飽きないのか?)」
そう思った俺はある日の夕方――
「俺」「あの?」
「先生」「はい」
「俺」「この幼稚園に、さいとうへいのすけ君っていう子って…います?」
「先生」「さいとうへいのすけ君?…いえ、うちの幼稚園にはいません」
「娘」「いるよ!あそこに!」
「俺・先生」「…!」
「俺」「イマジナリーフレンド…ですかね?」
「先生」「…そうかもしれませんね…実際小さい子どもには、そういう者が見えていると聞きますし…」
「俺」「…ねぇ」
「娘」「うん?」
「俺」「どんな感じの子なんだい?」
「娘」「う~んとね…!」
「娘」「かおがドロドロってしてる」
「俺・先生」「…」
俺はこれ以降、今日何があったか等の話はしていない。
数年が経ち今でも…
「娘」「今日もへいのすけ君と鬼ごっこしたよ!」
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