睡魔は悪魔?

 微分積分なんて日常生活で使わないじゃん……

 私は、そんな事を考えながらノートを取っていた。


 月曜日の三限目 数学


 まだ平日モードに戻っていない身体、大嫌いな数学、中弛みする時間帯……

 どれをとっても睡魔が襲ってくるには十分すぎる状態だった。クラスメイトはもう半数以上が目を閉じている。

 前回の定期テストは赤点スレスレで回避したけど、今回は絶対にムリ。ならば平常点だけでも稼ごう。そう決意しただけに、ここで屈するわけにはいかなかった。

 誰も見ていないのを確認してから下を向く。机に突っ伏しているような格好でこっそりとマスクを外して深呼吸をひとつ。新鮮な空気が身体に入ってくる感じがして、少し目が覚めた。


 と、さっきまでひたすらに問題集の答えを写していた先生が突然振り返った。

 

「この問題は、寝ている人にやってもらおうかなー」


 先生のニヤニヤした声が教室を舐め回す。

 

 ヤバい!絶対に当てられたくない!

 私は慌てて顔を上げた。

 

 先生とバッチリ目があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る