第7話、いばらの道だよ

「女神の嫌がらせ について知りたいのかにゃ?。(ニコッ)

私たちのパーティに入るのが教える条件だよーー」


チャライ見た目なのに油断ならない女、轟 春奈とどろき はるな


「重要な情報は仲間以外に教えないものじゃ。常識じゃぞ。兄さま」


などという会話が行われ、情報を盾にムチャを通そうとしてくる。

こいつら、チームワーク良いじゃねえか・・ちくしょう。


焦って情報を聞き出しても何かが変わるとは思えない。と言うか変えようが無い。

そんなことで重大な決断をするのは割に合わないだろう。


「却下だ。オレは一人でのんびり探索したいの。あっちの世界みたいな人生はこりごりなんだよ」


「むぅ・・いけずじゃのぅ。そう言われると無理には誘えぬ」


「えーっ、つまんない。若者らしくないよティート。せっかく若返ったのに」


「今のオレは真だ、ま・こ・と。ティートって呼ぶな、恥ずかしい」


とりあえずパーティ加入は保留とすることにした。


そもそも、彼女たちのパーティにオレが必要なのか?という話だ。


彼女たちのパーティ 深緑の鏃しんりょく やじり本来ダンジョン攻略の一つや二つ熟していても不思議では無い実力が有るはずだ。

前世の知識を引き継いでいるなら自分達の能力を効率よく育てるノウハウも忘れていないだろう。

それにも増して 魔物に対しての経験と情報が違うのだ。


事情が有って 実力を隠し、突出しないように他のパーティと歩調を合わせていると思う。

要するに彼女たちもオレと同じでダンジョン探索を手抜きしながら気楽にやっているのだろう。

前世のように命ギリギリの辛い攻略はしたくないのだ。


それですら最前線を走る彼女たちは注目度がハンパないし パーテイ収入も高額だ。

無理にメンバーを増やす利点も必要も全く無い。



「本当にオレが必要なヤバイ状態になったら呼んでくれ。

臨時の加入なら大丈夫だろう・・たぶん」


「それなら、まぁ良いかのぅ。

ふふっ・・じゃが、強い相手と戦う時にイキナリ臨時で加入はマズイじゃろう。どこまで戦えるか知らぬしのぅ」


オレ以外の皆が目を合わせて頷いている。嫌な予感が・・。


「ではー、そういう事で今から臨時で加入してもらってダンジョンに行きましょう。楽しみですわ」


「よっしゃー、そうこなくちゃな。久々に勢ぞろいの探索かー楽しみだ」


オレ以外が凄い嬉しそう・・・


逃げ場は無かった。



*************************



来る時の高級車とは違って、今は大型のワゴン車に乗って移動している。


後ろを走る車にはオレを拉致ってきた黒服のおっさん達が乗り込んでいる。

一見 暴力団の組員にしか見えない彼らだが 実は国のVIPから護衛を依頼される凄腕のガードマンだそうだ。(そんな彼等をビビらせた高校生なオレ 藤原 真でした)

ダンジョンの外では普通のか弱い?少女4人組パーティを警護している。

当然だが護衛依頼料は高額になるが、それを気にしないほどパーティの収入は多い。

そんなお金持ちの少女だから余計に狙われる、という悪循環。


彼女たちが気心の知れた前世のパーティメンバーであるオレを仲間に入れたい気持ちも分からない訳でもない。


近くで守ってやりたい気持ちも無くは無い。(藤原 真はチョロイ男だったのか・)

だが パーティに入った場合 すべてのヘイトがオレに集中するのは必然だろう。

悪い意味で注目の的だ。

ダンジョンの中で、いや外でもか・・男どもが集団でリンチにしようと隙を狙ってくるのは軽い方で、中にはマジで命を狙ってくる。

オレも男だし負けたくない。 

それに対して対抗する力(魔法)も有る。

結果としてどうなるか・・

身を守る為にダンジョンの外でも魔法を使って大騒ぎになるのが目に見えるようだ。

考えただけでメンドクサイ。



さて・・それはともかく


目指すダンジョンは 彼女たちのパーティ深緑の鏃しんりょく やじりが仕事場としている北海道の千歳市に有る千歳ダンジョン。北海道の中心地 札幌の隣りだ。

近隣では一番大きいダンジョンと言われている。


ちなみにオレが潜っているダンジョンは七飯ななえダンジョンで中規模らしい。

聞いた事ない地名?。

あの(名前だけは有名な) 函館市の隣町と言えばイメージしやすいかな。


以前は七飯町だったけどダンジョンが出来て人口も増え、七飯市になった。

今では近隣で一番の人口となり、さらにダンジョンという仕事場が有るため経済的にも豊かになった。


でだ、

この七飯市から千歳市まで高速を車で飛ばしても4時間以上かかる。

そんな距離を拉致されて運ばれたのだぞ。

こいつ等はオレを帰す気が有るのか‼と疑いたくなる。



それはともかく、(閑話休題って書けば頭良く見えるの?バカバカしいよね)


車はダンジョン入り口に隣接する大きな駐車場に入る。

車を止める場所によっては少しばかり歩かなくてはならない。

この少しの距離に問題が有る。



注目の場所であるダンジョンには様々な人間が集まる。


その中で一番質が悪いのは(見た目だけは一人前の)田舎ヤンキーのサルたち。

外では特性が使えない探索者にケンカを吹っ掛け「強い探索者に勝った」とアホな自慢がしたいが為に集まっていた。

半分位はナンパ目的。

勿論 報復が怖いからダンジョンの中には絶対に入らない。


そんな奴らが居るのだから高いお金を払ってもガードマンは必要になる。

彼らは車が到着するといち早く降車して護衛すべく配置に就く。

準備が終わってからパーティ深緑の鏃の彼女たちが降りていく。

まるでアイドル、いや姫君が馬車から降りるかのような雰囲気だ。

周りから男たちの歓声やら口笛やらで賑やかになった。


そして 最後にオレがコソコソと下車する。



途端に空気が変わるのが分かる。

歓声はブーイングと変わり、殺さんばかりの視線が銃弾のように突き刺さる。


「なんだぁ、あのガキャア‼オレのオンナに付き纏いやがって、ぶっ殺す・・」


そんな物騒な声があえてオレに聞こえるように方々で囁かれている。


「はぁーー、やっぱ こうなるよな」


ガードマンが周りに居なければ集団で袋叩きコースだなこれ。

ただ、本来は少数の護衛だけで抑止できるはずは無い。

安全な理由はここがダンジョンの警戒区域だからだ。


近くには大きな交番もあり警察官が常駐しているし、ダンジョン入り口には多くの警備員が武器を携帯して目を光らせている。

彼らは特殊な逮捕権を持っていてダンジョン近辺で問題を起こせばすぐさま逮捕されるし、罪状も普通よりかなり重くなる。

それを身に染みているヤンキー連中は口だけで手は出してはこない。


とは言え オレは臨戦態勢で何時でも反撃できるように(誰も使ったと気付け無い)魔法を準備している。

当然何か有れば反撃する。

ケガをしてから守られても意味は無いのだ。


この戦場のような緊張感は懐かしい。

近くに当時の仲間たちが居るから余計にそう感じるのかも知れないが・・。



とりあえず問題が起こることも無く安全にダンジョンに足を踏み入れた。


ここで一端ガードマンたちはお役御免となり 日帰りの探索なら車に引き返して待機する。

何日もかけて探索する場合は隣接しているビジネスホテルに宿泊、または別の仕事に向かう。


本当に ご苦労様です。



________________________________________________


在庫がつきました。

筆が遅いので更新は気長にお待ちください。

才能の無い素人の作品なのでご容赦を。


それでは、あけましておめでとうございます。

今年こそは平和な年となりますように。


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