後ろ

カランコロン


私の後ろから下駄のような音が聞こえる。

今の時代には少し異様な音だ。

男か女か…あるいは。

いや考えるのは辞めよう。

私の後をついてきているのではなく方向が同じだけかもしれないし、悪い想像をして自分から恐怖に入っていくのは良くない。


カランコロン


街灯とカーブミラーが見えた。

少し気になり鏡を見てしまった。

私の後にいる異様な存在。

狐面をつけ着物を着た存在を、その狐面と目が合ったように思え私はサッと目を逸らした。

何かやばいきがする。

そうだ、もう少ししたらコンビニがあったはず、早く人のいるところに。

あの角だ、あの角を曲がればコンビニが見える!


ドンッ


「いたっ」

角を曲がると誰かとぶつかってしまった。

「あ、すみませ…」

顔を上げるとさっき後ろにいたはずの狐面が立っていた。

「みつけた」

低く頭に響く男の声。

私は叫ぶより先に気を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ショートショート 宇紀 @soratugu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ