ショートショート
宇紀
風が吹く
乾いた土に、乾いた喉。
風の吹くままやって来たけれど、このまま死ぬのは惜しいから、水のボトルを取り出した。
「まだいかないさ」
僕は、ずっと探している。
君の笑顔を。
僕は駄目な奴だ、人にへりくだり、自分と言う物がまるで無かった。
君といたあの時も、僕は自分を信じていなかった。何もかも君に言われた通りにした。
その度に君が悲しそうに微笑んでいたっけ…僕は何がダメなのか分からなくて、それさえも君に聞いていた。
僕に呆れてしまったよね、なぜあの時僕の言葉で僕の思いを伝えられなかったんだろう。
君が苦しくて泣いていたあの時、なぜ僕は声をかけなかったのか…悔やんでも悲しんでもあの時は戻らない。
君はたくさん笑う天使のようで、僕を導く女神だった。
たくさんの事を教えてくれた君に感謝の言葉も言えないまま君はいってしまった。
僕は馬鹿な奴だ、いなくなってから気づくなんて。
石に言っても意味が無いじゃないか。
でも言うしかない天に向かって、君の今いる空に向かって。君は本当に天使になったのかい?あぁそうだ君は僕を導く風の女神。
僕がそっちにいくまでに僕は自分を探すよ、ありがとう。
笑うと風がほほを撫でた。
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