創作詩

深海くじら

誰そ枯れどき

広場のいすに腰掛けて

嘘の報告打つスマホ

見てきたようにむね綴り

してきたように締めくくる


ふと足元に転がるボール

グラブ振る子に振りかぶる

遥か手前で地に跳ねて

肩を抑えてうずくまる


こんなはずではなかったはずが

動かぬ身体

乗らぬ気力



若手誘って立ち呑みへ

御託並べて悦に

見てきたように物語り

してきたように勝ち誇る


ほんの四五杯なんでもないと

駅から帰りは自転車で

操りきれず電柱に

膝は破れて額割る


こんなはずではなかったはずが

回らぬ頭

効かぬ手足



吐しゃの匂いで目が覚めて

明けぬうちから洗濯機

見てきたはずの夢おも

してきたはずの過誤かごおも


紫雲の空をぼんやり眺め

今日は晴れるとひとりごち

日々は続くし腹も減る

駄目でもなんでも生きていく


こんなはずではなかったけれど

意味が無いのは

知らんぷり

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