#040 領都のギルド
ミドリはマリーとコレットと合流して冒険者ギルドに向かった。国で二番目に大きい街のギルドは立派で、受付が10もある。並んでいる冒険者の格好も様々で面白い。ただ、子供三人組のミドリたちが一番注目されており気まずいので端の10番の列に並んだ。
「冒険者ギルドへようこそ」
めちゃくちゃ美人の受付嬢だったが、なんだか対応がそっけない。そういえば初めて開拓村の冒険者ギルドに行った時もシェリーさんはそっけなかったな。子供が遊びに来たとでも思われているのだろう。
「フルールの町の冒険者ギルドで登録したんだけど、ここでも大丈夫?」
「問題ありません。要件をどうぞ」
「魔物の買取をお願い」
オーガの領域で狩りまくった魔物がミドリの【クラフト】とコレットの【時空庫】の容量を圧迫しているので早く中身を処分したかった。
「それではこの番号札をもって納品所へどうぞ」
対応のそっけなさが前世のお役所を思い出させる。とても忙しそうだし、子供と世間話をする暇なんてないのだろう。ナンシーさんとはよく世間話をして、たまにお茶も出してくれたな。無事だといいけど。
納品所に行くと筋肉質で陽気なおじさんがいた。
「小さいのに魔物を狩ってきたのか?えらいぞ。じゃあココに獲物を持ってきてくれ」
言われた場所に魔石と討伐部位と素材をセットで出していく。【倉庫】のスキルは希少らしいので目を付けられない程度に抑えておく。何度かに分けて換金する作戦だ。
「こいつはスゲェな。鮮度は抜群、解体は綺麗だし、量もたいしたもんだ」
おじさんは一つ一つ丁寧に確認していく。
「これが見積書だ。良ければサインしてくれ」
===見積書===
オークの魔石 ×4
オークの鼻(討伐部位) ×4
オークの牙 ×4
オークの皮 ×4
オークの肉 ×4
岩トカゲの魔石 ×2
岩トカゲのしっぽ(討伐部位) ×2
岩トカゲの鱗 ×2
ワイルドボアの魔石 ×2
ワイルドボアの蹄(討伐部位) ×2
ワイルドボアの牙 ×2
ワイルドボアの皮 ×2
ワイルドボアの肉 ×2
金貨42枚でサインした。おじさんはガハハと陽気に笑い。
「ありがとよ。これが見積書の写しと引換証、受付に持っていくと現金と交換してくれるぜ。他の冒険者に見られないように注意しろよ、絡まれるぞ」
さっきと同じ受付嬢の列に並び換金してもらう。引換証を見た受付嬢はニコリと微笑んだ。
(あれ、なんか対応が変わった?)
そして。
「皆様の冒険者ランクをGからFにランクアップできますが行いますか?」
みんなの冒険者ランクがFになった。同時に受付嬢の対応もランクアップしたような気がする。とても世知辛い。
◆◆◆
孤児院に帰ったミドリたちは借りている部屋でこれからのことを話し合う。
「フルールの町に帰るのは無理そうね。まだ危険だわ」
「これからどうしよっか。前みたいに商売でもやるー?」
ミドリは前からずっと考えていたことがあった。
「ちょっと興味があるんだけど。ダンジョンってどこにあるの?」
ちょくちょく会話に出てくるダンジョン。珍しい遺物が手に入ったり、ダンジョン特有の魔物がいてレベルアップも捗るらしい。基本的にゲーム脳なミドリとしては絶対に行きたい場所だ。
「このウエストウッド領にも有名なダンジョン都市グラハムがあるよー」
「懐かしいわね」
「マリーは行ったことあるの?」
「行商で行ったことあるわ。一攫千金を狙う冒険者で溢れていて、薬が飛ぶように売れたわ。ただ気の荒い人たちが集まるから治安は悪いわね」
石炭や金が採れる町が栄えるみたいなノリかな?ますます興味が出てきた。
「ダンジョン都市にいってみようかな」
「わーい。楽しそうだねー」
「みんなで一緒なら、いいかもね」
『主の判断にまかせるぽ』
次の目的地がダンジョン都市グラハムに決まった。
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