Chap2.開拓村と従魔

#011 開拓村へGo

 パッカ、パッカ、パッカ


 ミドリは開拓村への馬車に乗っている。旅は約2週間を予定しており、まだ領都を出て二日目なので道路が綺麗に舗装されている。馬車の揺れも穏やかで、10歳のミドリは気を抜くと寝てしまう。

 

 「おう、ミドリ起きたか」

 「寝てた。ごめん」

 「子供は寝るのも仕事だ。変なこと気にすんな」


 目が覚めたら御者のオジサンが話しかけてきた。この人はクソ親父の商会と契約している人で行商人のロナウドさん。あちこちの街に商品を運ぶのを主な仕事にしている。今回は開拓村へ生活必需品を運ぶついでにミドリも連れていていくことになった。親父や兄達はクソだがロナウドさんはいい人で色々なことを教えてくれる。


 「そうそうミドリはまだ小さいんだから寝てていいんだよー」


 そして悪気のない笑顔で失礼なことを言うのは。


 「コレット。本当に良かったの?」


 ミドリが開拓村に行くことを告げたコレットは一緒に行くことを即決、孤児院長に話すとミドリが一緒ならと賛成してくれた。中身がおっさんのミドリと違ってコレットは本物の13歳だ。開拓村は危険すぎると思うのだが、あの孤児院長はミドリを過大評価してる気がする。


 「僕はもう13歳だよ。商人希望なら誰かの弟子になって修行してる年だから丁度良かったよー」

 

 この世界の成人は15歳。13歳というと職人の弟子になったり、家業の手伝いをして修行するのが普通だ。

 

 「ミドリは領都から出るのは初めてだったな?まだ10歳の子供に、旦那も無茶なことを・・・」


 ロナウドさんは親父が実子を10歳で開拓村に送ることに心底あきれ、ミドリのことを心配してくれる。中身がおっさんとはいえミドリもこんなに早く独立するとは思ってたのでかなり不安だ。しかしこうなったからには仕方ない。頼りのスキルを確認する。


 ■■ステータス■■

 名前:ミドリ(10歳男)

 種族:人間

 Lv 14

 HP 45/45

 MP 10/57

 固有スキル:クラン Lv1(スキル付与)

 固有スキル:クラフト Lv3(Dランク作成)



 いい感じでレベルは上がっている。上がってはいるのだが戦闘系のスキルが一つもない。こんなことなら剣の練習でもしておくべきだった。あと体力も普通の10歳児より少し強いくらいだ。開拓村であっさり死んじゃいそうで怖い。もっと効率よくレベルを上げて強くなるには、魔物を倒さないとダメなのだろうか。でもゲームっぽい世界だけど現実だから死んだら終わり。魔物と戦うのが怖い。



 ■■クラフト Lv3■■

 【素材】

  MP 10

  フレミング白金貨 ×4

  フレミング金貨 ×30

  フレミング銀貨 ×58

  フレミング銅貨 ×23

  木の短剣[F] ×1

  木の槍[F] ×1

  木の丸盾[F] ×1

  鉄の短剣[D] ×3

  鉄の剣[D] ×3

  鉄の大剣[D] ×2

  鉄の槍[D] ×2

  鉄の丸盾[D] ×2

  鉄の盾[D] ×2

  鉄の大盾[D] ×2

 【設計図】

  ・・・・・・・・・・

  ・・・・・・・・・・

  鉄の短剣[D]

  鉄の剣[D]

  鉄の大剣[D] [クラフト中×1](※New)

  鉄の槍[D] [クラフト中×1](※New)

  鉄の丸盾[D]

  鉄の盾[D]

  鉄の大盾[D]

 


 【クラフト】のレベルが3に上がってDランクのアイテムを作成できるようになった。なので今は鉄の武器を延々と【クラフト】中。作成した武器はコレットの【時空庫】に保管してもらう。持ってる木の武器はミドリ用だ。まだミドリの筋力が足りないので金属製の武器は重くて持てない。 


 教会に寄付をしてすってんてんになったミドリだが、コレットに鉄の武器を売ってもらい、開拓村に旅立つ前に出来るだけお金を稼いだ。この国の通貨はこんな感じ。

 ・銅貨10枚で銀貨1枚。

 ・銀貨10枚で金貨1枚。

 ・金貨10枚で白金貨1枚

 街では普通の大人の稼ぎが一日銀貨3枚くらいだった。


 コレットも最初会った時よりずっと強くなった。露天商として色々と経験を積んだのだろう。外見は少しは女性らしくなってきた。中身はまだまだ子供のまんまだけどね。


 ステータスの画面をぼーっと見て考えにふけっているとロナウドさんが心配そうに声をかけてくる。


 「ミドリ、腐るんじゃないぞ。いいこともあるさ」

 「うん、ありがとう。ロナウドさん」

 「ロナウドさん、ミドリはそんな玉じゃないよぉ。なんか失礼なこと考えてた顔だよぉ」


 バレテーラ。


 「そろそろ、野営地につくぞ」


 二日目の旅のノルマは無事に達成できたようだ。ロナウドさんが馬車の速度を落とした。


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