彼ほどの経験を
とにかく、
彼としても、あの一件で沙奈子や
<信頼>とまで言えるほどのものじゃないとしても、少なくとも彼が少しでも気を許していいと思ってもらえるようになってきたのは事実だと思うんだ。
『実の母親に首を絞められて殺されそうになる』
なんでとんでもない経験をした彼の信頼を得るなんてのはそれこそ並大抵のことじゃないと思う。彼ほどの経験をしたわけじゃない僕でさえ他人を信頼するなんてずっとできなかったんだから。
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