五歳にもならないうちに母親を亡くした大希（ひろき）くんを、朗らかで穏やかな子に育てられているお父さんが、僕にとっては＜手本＞になってた。それがなくちゃ、僕はここまで確信を持って玲緒奈（れおな）と接することが出来てなかったかもしれない。

だって、いくら沙奈子（さなこ）を育ててたと言っても、それまで子育てについて何か具体的に学んできたわけじゃないからね。

『人間を育てる』

という大変な行いをするのにも拘らず、人間は事前にそれを教わらないよね。考えてみればすごく不思議だし、おっかないことだとも思う。

『人間を育てる』って、

『社会で生きていく』

中でも相当、重要なことのはずなのにね。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい