前科者の妹

『たとえどんな親でも、親は親だ。自分をこの世に生んで育ててくれたことに感謝するべきだ』


そんなのは、


『自分を甘やかしたい親が、承認欲求を満たしたいがためにでっち上げた綺麗事だ』


というのが、今の僕の実感だよ。僕自身が親になったからこその実感なんだ。


何度も言うように、玲緒奈れおなをこの世に送り出したのは僕の勝手でしかない。


だって、


<実の母親の葬式の場で実の父親を包丁で刺し殺そうとして有罪判決を受けた前科者の妹>


として、あの子は生を受けたんだよ? 普通の人はそんなことを望んで生まれてくるって言うの?


しかもその<姉>は、自分の母親と同じ歳。


意味が分からないよね。


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