達の手記

何度だって言うよ

何度も言うけど、僕ができるからって他の人も同じようにできて当然だとは思わないんだ。僕が結婚して子供を迎えられたことについても、だからって他の人にも、

『同じようにするべきだ』

とは思わないし、ましてや言うつもりもない。なにより、僕自身がそうできたのは＜出逢い＞があればこそだから。絵里奈（えりな）と玲那（れいな）がいてくれたからこそのものなんだ。二人がいなかったら今でも結婚もしてないし、沙奈子（さなこ）のことも諦めて施設にでも預けてたかもしれない。

決して僕自身の力だけじゃないというのは、何度だって言うよ。

『自分の力だけで生きていく』

僕はそんな風に思い上がることはできないんだ。