僕の手には負えないと本気で

僕が沙奈子を施設に預けてしまわなかったのは、同情というものも確かにあったのはあったけど、それでも僕の手には負えないと本気で考えてしまっていたら、感じていたら、とてもじゃないけど一緒にはいられなかったと思う。


だけど沙奈子は、何もできない憐れな捨て犬のような姿を見せながらでも、自分の力で生きようともがいてるようなところもあったんじゃないかな。彼女の姿に僕はそういうのを見てしまったのかもしれない。


それが僕に、何かの可能性を感じさせたのかもしれない。


これも実際のところは僕自身にもよく分からない。


『分からないけど』


なんだ。


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