その寂しさを埋め合わせるために

兄が、


『なんでも自分の思い通りになる』


と考えるようになったのも、両親の接し方が原因だというのをすごく感じる。兄が少し機嫌を損ねるだけでそれを取り繕うとして玩具おもちゃやお菓子やお小遣いを与え続けてたから。


だけどその一方で、本当に構ってほしい時には構えてもらえてなかったんだろうなっていうのも今なら分かるんだよ。


『我が子に構う』


という手間を、玩具おもちゃやお菓子やお小遣いで誤魔化していたんだ。僕の両親は。その寂しさを埋め合わせるために兄は傍若無人に振る舞って、そして両親はそんな兄の傍若無人ぶりをなだめるためにも玩具おもちゃやお菓子やお小遣いをつぎ込んだんだよ。


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