わしゃわしゃわしゃ~っ

玲緒奈れおなを預かった僕は、風呂椅子じゃなく風呂の床に直に座って玲緒奈を膝に抱いて、ベビーバスにお湯を溜めるために出しっぱなしにしてたシャワーヘッドを手にとって改めてお湯がちょうどいいかどうかを確かめてから、そっと彼女の頭にお湯をかけた。


「……!」


一瞬ビクッてなった玲緒奈だけど、僕が彼女の顔を見ながら、


「わしゃわしゃわしゃ~っ」


笑顔で声をかけつつ髪の毛を指先でやわやわと撫でるように洗うと、落ち着いてくれた。


この時も彼女はじっと僕の顔を見てる。まだ目はよく見えていないはずだけど、<ぼんやりとした視界の向こうにいる何か>が、自分にとってどういう存在かを確かめようとしてるんだろうなって気がする。


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