達の手記

玲那

そんな沙奈子（さなこ）も酷い経験をしてきたけど、玲那（れいな）の境遇はもっと酷かった。なにしろ彼女はわずか十歳の頃から実の両親に売春を強要されてきたんだ。

小学校を卒業する直前まで。しかもそれが終わったのも、誰かに救われたとかそういうのじゃなくて、違法な風俗店を営業していたことがばれそうになったことで両親が隠蔽のためになかったことにしただけで。

その後も、警察にマークされてたことで売春は再開されることはなかったけれど、彼女の不幸はまだ終わってなくて、僕と絵里奈（えりな）が結婚した後にも大きな事件があって、それが僕達家族にとっても一番の試練になったんだ。