達の手記

京衛武百十

退院

妻の絵里奈えりなと娘の玲緒奈れおなが退院してくる日。僕、山下やましたいたるは、二人を迎えに行くためにタクシーを呼んだ。


病院は、家から歩いてでも行ける距離だから、歩いて病院まで行って帰りだけタクシーを使うという形だとさすがに申し訳ないし、せめて往復という形でお願いすることにしたんだ。


絵里奈とは事前に打ち合わせて、病院の玄関のところで待っててもらってる。


そして玲緒奈は僕と絵里奈の第一子。初めての実の子供だ。


まさか僕がこうやって自分の子供を迎えることになるなんて、ほんの数年前には全く想像もしてなかった。それどころかきっと僕は、結婚もすることなく一人でひっそり死んでいくんだろうなと思ってたんだけどな。


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