第75話 ダンジョン攻略組

 その後はせっかくなので飛行艇の中に入ってみた、中はファンタジーと言うべきか何というか壁には手の込んだレリーフが彫られていてさながら外国の宮殿の廊下みたいだ。


 恐らく魔法により通路は広げられているな、幅は大人が四人は並んで歩ける、天井も用務員おじさんの背丈の五倍はあった。


 生活用の部屋もあるが用途不明の謎機械がある部屋も多数、機関室的なヤツかな?

 それらはデジタルを相手にすると途端にモンキーになるタイプの用務員おじさんはノータッチだ。


 エコーやラナミスはやたらと興味津々って感じだった。

 リエールは内装を既に把握していたのだろう、その様子には職場見学の引率の先生みたいな態度であった。


 そして飛行艇のまん中上部付近にある操舵室に移動した、しかし外の様子を窺える窓とかはなかった。

「外の様子は全てモニターで表示されます」

「ほうっ」


 リエールが指をパチンとするとこの飛行艇の外側からの映像が空中に幾つもの四角いウィンドウに映し出される。


 本来なら死角となる部分までこれなら確認出来るな、ファンタジーよりもSFの方で使われそうな技術だがまあ気にしても仕方ない。


「しかし思った以上に内装はシンプルですね…」


「そこは問題ありません、この飛行艇が起動されればセーフティポイントを魔法によりこの飛行艇の中に移動しますので」


「そんなことまで出来るですか?」

「このセーフティポイントでリエールに出来ない事はほぼありません」


 成る程、見てみた感じ本来船にあるべき調理室や食堂や浴室その他もろもろがなかった、しかしそれらはあのセーフティポイントが担当していたのか。


 恐らく空間魔法を用いて飛行艇内部の空間を弄る事であの規模の施設群を内蔵するつもりなのだろう。


 あれだけの施設がこの飛行艇に内蔵されるのなら脱出後の空での移動の時も快適に生活出来るな。

 まあそんな話は脱出した後に考えれば良いか。


「この飛行艇が優秀なのは理解した、それでダンジョンからダンジョンコアをどうやっても手に入れるんだ?」


「もちろんダンジョンコアを守護する魔物を倒してその後は魔法でダンジョンコアを奪取します」


「ならその魔物が倒せなかったら?」

「倒せますよ、流石にあのダンジョンマスター以上の手合いが出て来る事はないでしょう」


「しかしだな…」


「中ボスも倒せないとかクソゲーを越えてます、カスゲーですね。もしそうなればダンジョンマスターが復活する前に『星魔の塔』を外から破壊するか……無理ならダンジョンコアの代わりに我々がエネルギー源となって飛行艇を飛ばしてこの異次元ダンジョンから脱出しましょう」


「…そっそうか……一応他にも手は考えてるんだな……ラベル…様」


 何故かラナミスに褒められた、この手のあまり人を褒めない女性は基本的本当に褒めてる時だけそれを口にすると思うので何気に嬉しい。


「別に無理に様なんてつける必要ないですよ?」

「そっそれなら」

「………………」

「ッ!? いや、まあ慣れるようにす…しますラベル様…」


 背後のリエールから何やら気配を感じる、流石にラナミスも上司の上司には逆らえない。

 げに恐ろしきは魔物界隈でも幅をきかせる組織の上下関係である。



 ◇◇◇◇◇◇



 飛行艇探索後、リエール達をなだめたり話をそらしたりしながら何とかセーフティポイントの守りをお任せする運びとなった。


 用務員おじさんがダンジョン攻略に専念するには拠点の防御には万全を期したい。

 後ろを気にしなくていいからこそ用務員おじさんみたいなヤツは全力で前に進めるのだから。


 そして現在、用務員おじさんとベルフォード学園の人々からダンジョン攻略に名乗りを上げた変わり者達は『星魔の塔』の入り口に立っていた。


 本来この入り口を守護するエコー騎士団は皆セーフティポイントの守りを強化しているので現在はがらんどうである。


 ちなみにその攻略組の面々には見知った顔も多い。


「ラベル、本気なんだな…」

「我が師に与えられた力、遂に披露する時が来ました、どんな敵も瞬殺しましょう!」


「ラベルさんと言うかあの鎧の魔物なのだがな…」

「ラベルさんに直接しごかれたら、私達無事では済まないと思いますよ?」

「デュミナも強くなった自信あるよ!」


「……………」


 【名前:ディアナ=ブルーライト】

 【種族:人間】

 【HP:5214/5214】

 【ATK:2514】

 【DEF:2859】

 【髪は金髪、瞳の色は青。世界最高峰の魔法学園、ベルフォード学園で魔法の実技を担当している女教師、得意な魔法は雷魔法で他にも多くの汎用魔法を扱える。腰まであるウェーブのかかった金髪は何気に自慢で手入れは欠かさずしている、最近は更に手入れに気合いを入れ始めている美容にも意識を向け始めた、元は騎士の家系の貴族。Fカップナイト】


 【名前:アルティエ=サディアス】

 【種族:人間】

 【HP:3455/3455】

 【ATK:3211】

 【DEF:1064】

 【ベルフォード学園の女教師、攻撃魔法で敵を攻撃するのが大好きな人間、反面防御魔法は学生以下だったが今はとある理由で猛勉強中、興味ゼロだった髪の手入れ肌の美容もお勉強中、背中まで伸ばした黒髪は更に伸ばすか悩み中。自分が勝てない魔物に攻められたりすると一転してヘタレ雑魚になるが心の支えとなる物を見つけた様子。Eカップマジシャン】


 【名前:ラビス=イールドネア】

 【種族:人間】

 【HP:4129/4129】

 【ATK:2788】

 【DEF:2210】

 【ベルフォード学園の女学生、長い銀髪をポニーテールにしていて手入れと白い肌の美容も修行共々真面目に取り組む生真面目さん。騎士に憧れがあり『魔力剣』の魔法を極めたいと考えている、『魔力剣』の先をラベルの魔法に見たラビスは弟子入りして更なる研鑽を積もうとしている。Dカップ女学生】


 【名前:シフォン=ブルムスタット】

 【種族:人間】

 【HP:1865/1865】

 【ATK:1244】

 【DEF:2924】

 【ベルフォード学園の学生、音に関係する魔法を多数使いこなす才女で伸ばしたブラウンヘアーと美容にも気を使う、その女子力と包容力はベルフォード学園の女子勢でもトップクラス。新たに防御関係の魔法の習得に励んでいる。Gカップ女学生】


 【名前:デュミナ=マルトルコ】

 【種族:人間】

 【HP:4239/4239】

 【ATK:2144】

 【DEF:1496】

 【ベルフォード学園の女学生、身軽で素早い小動物系女子、高い身体能力を魔法により更に強化するスタイルで戦う。手入れしまくった赤茶色のツインテールと肌のツヤには絶対の自信を持つ、オッサンをおじさんと呼んであげる優しさを持つ。Bカップ女学生】


 うんうん、ディアナとアルティエは以前とは比べ物にならないくらい成長してる。

 ラビス達も以前はステータスの確認をしてなかったかがこの数値はかなり成長したと見た。


 ………しても近頃は美容関係にも興味津々な様子である、まあ日本では男でも化粧してたんだ。ファンタジー世界の女子がダンジョンサバイバル中でも髪の手入れや肌の美容に時間をかけるのは普通なのかもしれない。


 ディアナはバランス良く成長してるな。

 アルティエは守りも覚えたようだ、心の支えとやらが彼女を良い方向に成長させてるのかも。


 ラビスは『魔力剣』を極めたいのは知ってる、それなら少しは手ほどきくらい出来るかも知れないけど……まあなるようになるさ。

 シフォンの包容力の正体も知れた。G……。

 デュミナのおじさん発言は優しさだったのか、驚愕の真実である。


 他にもベルフォード学園の人々が多数、皆このダンジョンの魔物の強さを理解しても攻略に前向きな連中である。


 そんな訳でダンジョン攻略組、ここに誕生だな。

 

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