第45話 おじさん対バリー(2)
殺気全開のバリーが再び魔法で攻めて来た。
「滅べ……『魔光の連弾』!」
黒い球体を幾つも出現させて用務員おじさんへと放ってくる。さっきまでの魔法と違い最早『浮遊』の魔法ではどうにも出来ないなあれは。
やっぱり最初の段階で気絶でもさせれば良かったのかもしんない、変に用務員おじさんが説教をしてしまったせいで現場が大変な事になっている。
『魔光の連弾』は『紫電の閃光』と同じ貫通属性の魔法だ、魔法の防御を問答無用で突き破ってくるタイプ。
仕方ないので『飛行』の魔法を発動してスカイおじさんとなり高速飛行で『魔光の連弾』を回避する。『紫電の閃光』よりかは攻撃速度が遅いので助かるね。
「飛び回る羽虫が、ならこれを食らえ…『呪殺の魔槍』!」
空中に三本の黒い槍が出現する、攻撃が当たったヤツに呪いの状態異常を付与してくる呪いの魔槍かよ、どんどんバリーの攻撃魔法が闇属性になっていくんですけど。
放たれた黒い槍は当然用務員おじさんに向かって飛んでくる、『魔障壁』を発動して盾にした。
すると黒い槍から枝が生えるように細い黒槍が出て来た、しかも『魔障壁』を回り込んで伸びて来てるぞ。
『転移』を発動して回避する。
「………」
「ハッ! 本当にすばしっこいなこの羽虫は、しかし今まで使ってこなかった魔法の練習には丁度良いぞ、まだまだ倒れるなよ下民!」
「………ハァッ仕方ないですね、これ以上痛めつけるのは避けたかったんですけど」
「あ? 何を言って…」
一瞬である、用務員おじさんはバリーの目の前に移動した。当然彼の発動した魔法を全て掻い潜ってだ。
「!?」
「今の私は『飛行』の魔法と『音速の歩法』を同時に発動しています、この魔法のコンボ相手にその程度しか離れていないと言うのは頂けませんね」
魔法ってコンボがハマるとこれまたえげつない程に強力な組み合わせがあるのだ、気分一つで音速ミサイルになれる用務員おじさんである。
何か言おうとしたバリーの顎を少し強めに殴打する、フラついて倒れるバリー。素人の一撃でも上手いこと意識を刈り取る事に成功したみたいだな。
気絶したバリーを受け止める、さてっこれで一件落着となってくれるかな?
『なぁんだ、もう終わり? つまんないな~~』
「………やっぱり、そうは行きませんか」
どこからともなく聞こえてくるのはまるで子供様な声だ、恐らく魔法による念話だと思われる。
声だけなのにこのえげつないプレッシャーはヤバいかな、明らかに人間がどうこう出来る範囲を超えてる気配を感じる。
「貴方は何者ですか?」
『ボク? ボクはこのダンジョンのダンジョンマスターさ、要は君達みたいにダンジョンに侵入してきた連中が最期に戦うボスだね~』
「侵入ですか、こちらは自らの意思と関係なくこのダンジョンに送られた様なものなんですがね」
『フッフフフ、そうなの? それは不運だったんだね~~~ハハッ!』
完全にコイツが我々を異次元ダンジョンに引きずり込んだな、あの抑えきれない笑いはなんだよ気持ち悪い。
しかし姿すら見えないのなら戦いようがない、先程から『天眼』の魔法と魔法による探査を同時にしてるのに半径数十キロにはそれらしい存在が全く確認出来ないのだ。
やはりダンジョンマスターなんだし、あの『星魔の塔』の頂上にいるのか?
流石にあの建築物の中までは『天眼』でも覗けない、魔法による妨害がされている。
『フフフッ無駄だよ無駄無駄、少し魔法が得意な人間レベルじゃボクを見つけるなんて出来る訳がな~いじゃないカ!』
ムカつく、特に最後のカ! の部分がマジでムカつくんですけど。
『それと流石にもう少しバリー君には頑張ってもらわないとね、せっかく
「………ッ!?」
バリーの身体からえげつない程に濃くて重苦しい魔力を感知した。まさかこれは、魔物の…。
バリーの身体が空中に浮く、それと同時に放たれた魔力の奔流に俺は吹き飛ばされてしまった。
「バリーさん!」
「アアァアアアアアァアーーーーーーーッ!?」
バリーの身体が発行しだした、あまりも眩しくて右手で光を遮る。そして光がおさまるとそこには。
「……………
バリーの身体からまるで生えてきてるかのようにライオンっぽい魔物やシカみたいな魔物、それに他にもあのカマキリとかフクロウとか蛾とか、様々な魔物の頭や腕や脚が現れている。
「まさかバリーさんの異常なパワーアップは」
『正解! これが一番簡単に強くなれるんだよね~~、あっバリー君は何も知らないよ? だって余計な記憶は消して都合の良い話だけしてたからさ~』
本当に最悪だなこの声の主は、腐れダンジョンマスターだな、くたばれ。
『行け、我が僕。合成混魔バリー君!』
「ォオオォオオオオオーーーーーーーッ!」
腐れダンジョンマスターの命令に従うバリー、戦闘再開だ。
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