❅7.僕の居場所

博士の研究は順調らしい。

今日は時間があるらしく僕とテレビゲームをしている。

「博士ってさあ、しれっとゲーム強いよなあ」

「朔耶が弱いだけだ」

「僕だって苦手なわけじゃないのになかなか勝てないんだもんな」

「どうやったらそんな強くなるんだよー」

「俺に勝てるようになったら教えてやるよ」

「いやいや、勝てるようになってから聞いても意味ないじゃん」

「まあそうだな」

「博士、教える気ないだろ」

「ばれたか」

数秒の沈黙にふとずっと気になっていたことが口を伝って流れ出た。

「ねえ、博士?何で僕の事選んだの?」

「俺が買い物へ出かけた時に君がみんなからよくないこと言われている所を見てしまってね

君は何も言わず、ずっと耐えていた

その姿に僕の娘を思い出してね

君の願いをかなえてやりたいと思ったんだ」

博士はこの話に似た話をするときはいつも僕を名前で呼ばない。

「見てたんだ…博士に子供がいるの?どんな子?」

「可愛らしい女の子だったよ」

自分の娘にかわいいだけって

「僕、その子と会いたいな」

「今は、会えないな」

「いつか会わせてよね」

「そうだな」

_____ピロローン

「あ、死んだー」

「また負けたな」

「博士のせいだから」


僕はこんなちょっと大人げない博士が好きだ。



これが、博士の愛情だと。

愛を知らない僕は愛されていることに気づけなかったんだ。

僕たちはとっくに愛し愛されそこには絆があったのに。

僕は…気づかなかったんだ。

博士がどんな気持ちでいるのかも。


-ーーだんだんと博士と仲良くなる朔耶。朔耶と博士の間には絆が生まれていた。

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