贖罪の犠牲者

世界が終わる日に偉い人は最後の希望を私に託したと言いました。終わる原因になった研究者は感謝を言葉にしました。世界中の誰もが憐み、安堵し、希望を抱くなか君は一人違いました。泣いて、泣いてもう涙も枯れた君は私の手を離さない。離して欲しい、君を巻き込みたく無いから。そう言っても君は手を離さず寧ろもっと強く手を握ったのです。仕方ないなぁと寂しがり屋な君と共に終焉を迎える世界を救う犠牲となり炎の中で手を取り合い燃えたのです。どうか次は君と幸せになれますように、私と君が居なくなるこの世界が救われます様に。そう願って私の体は灰へと変わったのです。



世界が終わる日に偉い人は俺の恋人を生贄に選んだ。原因を作った研究者は口から出任せを吐いて思ってもいない感謝の言葉を紡いだ。世界中の誰もが嘲り、安堵し、これからの未来を考え始めている中、俺だけは絶望していた。君が消える。君が死ぬ。そんな世界で生きるなんて考えただけで辛くて泣いて、泣いて涙は枯れた。一人で死にに行く君の手を取り離さない様、手を強く握った。優しい君と共に燃えながらこの世界を呪った。大事な君を殺しておいて“ありがとう”なんて言葉を吐く腐った世界なんて滅んでしまえとそして君が次こそ幸せに生きられる世界を願った。最期まで君だけを見つめて俺の体は灰となった。00

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