ご飯がまずい
仲仁へび(旧:離久)
第1話
マンションの一室。
仕事を終えて帰ってきた俺は、すぐに夕飯をたいらげた。
だが。
妻の作るご飯がまずい。
少し前まではそうじゃなかったのに、いきなりまずくなった。
俺の舌がおかしくなったのかとおもったけど、近所の野良犬や野良猫に試しにやってみても、見向きもされなかった。
だから、俺がおかしいわけではないというのだろう。
なら、俺への嫌がらせか?
妻はわざと俺へのご飯をまずくしているんだ。
日ごろおとなしい女だが、俺が口うるさくがみがみいうのが気に食わないでいるのかもしれない。
一度怒らせたときは、食器をなげてきたことがあった。
考えれば考えるほどそれしかないと思った。
ご飯はかならず毎日作れ、とか。
おかずは必ず五品は用意しろ、とか。
食べ終わったらすぐ片付けろ、とか。
食後のビールを切らすな、とか。
着替えたものはちゃんとすぐ洗濯しろ、とか。
俺の部屋はいつもきれいにしておけ、とか。
明日持ってくものや着るものは、必ず用意しろ、とか。
風呂の温度は四十度でわかせ、とか。
沸かしたら、五分以内に知らせろ、とか。
専用のバスタオルはかならず三つ用意しておけ、とか。
そういったささいな頼み事が、怒りの同線に火をつけたのかもしれない。
一つの物事に注文をつけすぎだと?
こんなの普通だろ?
俺のオヤジとおふくろだってそうだったんだから。
それにしても、最近やけにマンションが静かだな。
上の階の、夕飯時に騒ぎ出す子供の声や、左隣のカラオケ好きの音痴の学生の声が聞こえない。
うるさいと怒鳴り込んだことがあった。
引っ越しでもしたんだろうか。
ご飯がまずい 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます