第31話 【チャチャ】

光が収まった後の世界はすごく楽しい!

アルクになんでもできちゃう、でも楽しいだけじゃなかった。



いつも池にいたズンナマがアルクの力を受け取ったからだ。

ズンナマは喜んでいたがボクはそうじゃなくムカついてた。

なんで力を授けたのか分からなかった、でもアルクも分かってなかったから事故だったんだろうね、まぁ許してあげることにしてあげた。


ズンナマは思った以上に優秀だ。

アルクの力を得たおかげだろう、池の中から索敵してくれている。



そんな中にクマが来た、ズンナマの威圧に当てられてヒョロヒョロになった体で、なんでここまで来たのかと疑問に思うくらいだ。

アルクも契約を試したかったみたいで、その被検体に選ばれた、ありがたく思うことだね。

ここの世界の魔獣は主の力を得ると人になってしまう、アルクの力は偉大だ。



次はシカが来た、こいつはアルクの眼を奪った。

でもアルクと半面教師達のおかげで手を出さずにすんだけど、いつまで見ているんだとアルクに切れて叩いてやった。

そのあとも恐怖と不安で震えているこいつは、アルクを気安く名前で呼ぶし、蔑んだ時はさすがに切れてしまった。

アルクが必死謝っていたがこいつが悪い。



念話をしているあいつをずっと観察して解ったことがあった、ボクにも念話が使えるかもしれない。

だけど、アルクと念話で話すのが恥ずかしいから今使えたとしても使おうとは思わないけどね、まだ先でいいかな。



そんな事を思っていると、とうとうバカが来た。

救えない奴が、ボクはお留守番を任された。

なのにアイツはアルクと一緒にバカを退治にいった、ボクも本当はいきたかったが説明を受けて渋々頷いてあげた。

アルクの力をまた間近で見たかったのに。

ボクとアルクが使う魔法は同じなのにアルクのが綺麗でカッコイイの。


あ、狼がこっちに来た!始まった。


アルクの音が聴こえ、ボクは目を閉じその音流れに浸った。


何度聴いてもいい音だ。


でもアルクの音が間近で聴けるアイツが羨ましく妬ましい。


あ、残念、終わっちゃった。


早く帰ってこないかな。


バカは生き残ったの?やるじゃん、アルクは加減したのかな?


バカを連れてきてる?アルクはなにやってるの?なんでアイツも止めないの?



ボクはアルクが家の近くに来た事が分かると外へ出てお出迎えの準備をすることにした。

池に目を向け威嚇を放つ。

ボクは手出ししないよ、だってボクが手を出すと一瞬で終わっちゃうからね。

恥ずかしがり屋でも使命を果たすんだよ?

絶対だよ?



そして、バカが庭に来た瞬間、ズンナマがじっくりと処分をしてくれた。

ザマァ、抵抗してみろと意味を込めて微笑み掛けてあげたが、何も抵抗をしないから冷めた。

ただただ狼は気持ちの悪い眼をしているだけだった。


最後の瞬間は恐怖で歪んでたが、アルクに気持ち悪い眼を送った末路だね。

救いようがないね。


ズンナマが食べ終わった後、あいつがボクを見てきたから君もあぁなりたくないなら分かるね?っと返してあげた。



そしてヴィアスが起きた、あんな臭くヒョロヒョロの熊が見違えたけど、礼儀知らずでつい軽く手がでちゃった。

しょーがないよね、まぁ姐さんと言われるのは悪くないかな。



でもアイツの眼は狼の件以降変わった、恐怖や不安がない、アルクに向ける眼が別の意味で脅威になる眼をしていた。



欲している。



ボクはアルクの決定事項に逆らうつもりはない、でもアイツはダメだと分かっているのにアルクはボクに微笑みながら体を撫でる。



あぁ安心する。



きっとアイツが名を与えられて人になろうとも変わらない。



この温もりでボクは安心する。



そういえばボクの名前の意味はなんだろう?

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