医者の男とガーネット王妃

第1話 復活の王妃

ここは遺されし超古代文明。ナソポテミア文明の栄えた時代。そこにはクレオパトラ風の女性の遺体がある。その遺体はまるで腐敗しておらずまるで眠っているかのように綺麗な遺体であった。クレオパトラ風の女性の名はガーネット。男は手術着に着替えてガーネット王妃の身体に手術布を被せて、メスと開胸器という手術器具を使って胸を開けた。男は驚いた。ガーネット王妃の心臓はまるで朱色の如くサーモンピンクのように光り輝いていた。


男『信じられん…とても綺麗な心臓だ。こんな美しく腐敗もしない身体を持つ女性がかつていただろうか』


そう思った時、男の脳裏にはガーネット王妃の生前の記憶が走馬灯のように蘇った。

ガーネット王妃は気品溢れる美しさを持ちながら、しかし、誰よりも優しく温かい心を持った女性だった。彼女は貧しい人々の為に自分の財産を全て寄付したのだ。しかもただの金ではない。それは宝石や金銀財宝などではなく全て食べ物である。それも彼女が作った手作りの料理なのだ。貧しい人々は彼女の手料理を食べて皆笑顔で喜んだ。そして彼女にこう言ったのだ。


貧しい人「ありがとうございます!!こんな美味しいもの食べたことありません!!」


貧しい人は涙を流した。それを聞いたガーネット王妃はとても嬉しくて涙を流す。


貧しい人「このお礼は必ずします」


するとガーネット王妃は言う。


ガーネット王妃「では私のお願いを聞いてくださいますか?」


貧しい人「はい!何なりとお申し付け下さい!」


ガーネット王妃は貧しい人にこう告げる。


ガーネット王妃「私の死後、私の身につけているもの。それを貧しい人達に分けてあげて欲しいのです」


貧しい人「わかりました!必ず実行いたします!」


こうしてガーネット王妃は死んだ後も貧しい人々を幸せにした。そして死後も彼女の願い通り身につけていたアクセサリーのそれらを貧しい人々が分け与えてくれたのだ。男はそんなガーネット王妃の遺体を眺めながら呟くように言う。


男「お前はなんて素晴らしい人間なんだ……。だがもうすぐあの世へ逝ってしまうんだな……」


男は悲しみに満ちた表情を浮かべてガーネット王妃の遺体を見つめた。そしてガーネット王妃の身体から綺麗な心臓を取り出した。その美しい朱色の輝きを放つ心臓を見た男は、その心臓に名前を授けることにした。


男「ガーネット……それがお前の名前だ……」


男はガーネットの心臓を手に持って彼女の胸に埋め込んだ。するとどうしたことだろう。なんとガーネットの心臓が脈を打ち始めたではないか。ガーネットの心臓はまるで生きているかのように鼓動を始めた。そして徐々に心臓の動きが激しくなるにつれて、胸の奥から朱い光が溢れてきた。


男『これは一体!?まさか本当に生き返ったのか?』


男は驚きながらもガーネットの様子を見守った。やがて心臓は落ち着きを取り戻していった男はそれを見守ると針と糸で胸を閉じた。それと同時にガーネットはゆっくりと目を開いた。


ガーネット『私は誰?それにここはどこですか?』


ガーネットは自分の身に何が起きたのかわからなかった。すると男が話しかけてくる。


男『おはようガーネット』


ガーネットはその声を聞き驚く。


ガーネット『えっ?貴方様はもしやゼウス様なのですか?』


ガーネットは驚いた様子で言う。


男『そうだよ。僕は君の夫であり、君の父でもある。君は僕の妻として長い眠りについていたんだよ』


ガーネット『まぁ!!では私は死んでいたんですね!!』


ガーネットは自分が死んでいたことを自覚する。


男『うん。でも安心していいよ。君はこれからずっと僕の傍にいることが出来る。つまり永遠に一緒というわけさ!』


ガーネット『ああっ!!嬉しいですわ!!私はずっと貴方のお側にいます。貴方を愛しています。どうか永遠の愛をお約束下さいませ』


男『もちろんだよ。愛する妻ガーネット。僕達は今から夫婦になるんだ。だから君も僕のことを名前で呼んで欲しい』


ガーネット『はい。ゼウス様。いえ、あなた♡』


こうしてガーネットは男と結婚し幸せな生活を送ったそうな。めでたしめでたし。

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