咲坂中学校☆異世界科(仮)

工藤 流優空

序章

 まだ幼稚園の年少組だった頃の記憶。

 テレビから流れる、テレビ番組に、私は夢中になっていた。

 主人公は、地域で名の知れた、すごいおうちの娘で。

 だけど、何をやってもダメで、打ちひしがれていた。

 そんなある日、ケガをした父親の代わりに戦場に出た少女は、父親のため、家族の名誉のために戦い、立派にやりとげる。

 それを見て、私は思った。

『私も、誰かに必要とされる誰かになりたい』って……。

 でも現実は、そんなに簡単じゃない。

 誰かの役に立ったり、自分の居場所を見つけることは、とっても難しい。

 このまま、何の生きがいもなく生きていくのか、そう思っていた時。

 一筋の光が、差し込んだんだ。


♢♢


「桜庭玲さん。キミ、ウチの中学校の異世界学\科に編入する意思は、あるかい?」


 これは、ちょっと変わった学科のある中学校と、その生徒の一人の物語。

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