私が愛しているのはあなたじゃないっ!私の愛しい人がいない世界なんてもう意味ないのっ!
八重
第1話 もうどうでいい
どうでもいい。
もうどうでも、こんな世界は全てどうでもいいの。
でも最後に、最後に伝えられるなら──
『あなたを愛しています』
断頭台への階段を兵士に追い立てられてて進む。
私の腕や足、そして身体はもう何度もされた拷問によって傷つき、王太子妃としての価値をもう失っていた。
足取りは重く、ゆっくりと階段を上がる私をせっついてくる兵士の方を見つめると、その向こうに足を組んで椅子に座りながらこちらをじっと見つめている王太子──アニス・ビルドがいた。
どうしてこうなったの?
私が何かした?
そこで私は気づいた。
私はこの世界の人間ではない。
現世で大人気だった乙女ゲームのヒロイン……ではなく悪役令嬢トワ・リズナ―。
なんだ、断罪イベントの時まで思い出せなかったなんて、こういうのはもっと早く思い出して処刑を避けるのよ、私。
ついにたどり着いた断頭台で私は走馬灯のように思い出す。
そうだ、私はあんたなんか、あんたなんかの婚約者になんて、王太子妃になんてなりたくなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます