協調性
奏〜カナエ〜
自分の体験談
楽しい雰囲気の授業は嫌いだ。自分はそこに入れない。雰囲気はあくまでも雰囲気であって全員がそうではない。一部の陽キャ共が楽しそうにしているだけで僕たちは死んでいる。先生はそれを見て
「楽しいクラスだね」 と。
物事の表面だけを見て全てを知った気になって欲しくない。そうやって騒いでいるのは氷山の一角なんだ。心から楽しめていない人の方が多いのに。
表の奴らはアピールして自分の存在感を強める。存在感が強まるほど声を上げれない僕たちは段々と失われていく。先生はあのうるさい奴らに協調性があると言う。でもあんな猿みたいに騒ぐ事が協調性なら僕はそんなものいらない。
この間、授業で班を作り先生の出す問題をクイズ形式で答えていくというものがあった。優勝した班には内申点を少しだけ与えると言うものでみんな張り切っていた。自分の班は優勝出来なかったが、一番努力して勉強している人が優勝してみんな納得していた。その時だった。陽キャ共の班がクラスを盛り上げていたから陽キャ共にも内申点をあげると。
「……は?」 思わず声が出た。
納得がいかない。猿共は終始騒いでいただけだ。むしろうるさくて僕は迷惑していた。クラスを盛り上げていた?先生は四、五匹の猿が放つ存在感に目を盗られて他を見ていない。猿が面白そうな事を言ったら
「ははっ」 と、声を出してあげている。一秒後には真顔に戻っているのに。無理矢理合わせてやっているんだ。本当に協調性があるのはあいつらじゃ無い、僕たちの方だ。僕たちにこそ内申点をあげるべきだろう。誰も声に出さないまま授業が終わる。
不満を胸に抱きながら次の授業を受ける。少し時間が経った頃先生が言った。
「このクラスは楽しいクラスだね!」 と。
「……は?」 思わず声が出た。
協調性 奏〜カナエ〜 @mukiziro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます