第13話 戦闘

つかつかと一体のアンドロイドに近寄る。捜査班はざわっとして銃口を向けてくるがかまわない。まだ撃たれない。

アンドロイドがデータの捜査を始めた。そろそろだ。


奴の挙動がおかしくなり、ホルスターから銃を抜く。今だ。


照準が定まる前に俺はそいつに飛びついた。どうせなら博士だけでなく、全員救ってやろうじゃないか。最後くらいカッコつけたっていいだろう。あくまで「ついで」だが。


正確に関節を狙ったがさすが機械。無理やり関節を捻じ曲げるとバン!と銃声。見事、俺の腹に命中した。だが、致命傷ではない。


しがみついたままぐっと手を伸ばし、奴の口に手を突っ込む。力任せに腹に拳を入れられる度に激痛が走るが、ここで引いてたまるか。

ようやくある物を飲みこませた。そいつは強力な電磁波を生み出し、機械おまえを内部から破壊する。効果範囲はごく狭いため、周りに被害はないはずだ。捜査班の連中は俺たちから距離をとっている。しがみついている俺は……どうなるだろうな。


数秒後、暴走アンドロイドは完全に停止した。自立が不可能となった膝関節がガクッと折れ曲がる。それにつられて俺も崩れ落ちる。床に赤いしみが広がっていく。

急にアンドロイドから引き離され、気づけば俺は彼の腕の中にいた。

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