1話
「あー、先輩、起きてますか」
という声に、頭を掻き回すような不快感で目覚めた紫宮は意識が混濁していた
「なんや......ハァ?!どこやここ?!」
と、杉島の甲高い悲鳴に近い絶叫で頭が覚醒した。
が、
「何...?!どこ?!ここ?!」
紫宮は身を守るように腕を絡めて震え上がった。
そこは
いかにも、いわく付きだろう和風の屋敷が一軒、竹やぶの中に佇んでいた。
しかしだ、今紫宮が寝っ転がっていたここが、というか世界が全く分からないのである。
混乱していると武蔵の笑い声が聞こえる
「ヒハハハ...先輩方のその顔いいですねぇ」
「お前なんでこの状況で笑ってられんねん!」
その問いに武蔵は答える
「先輩方...いいですか、これは脱出RTAです」
「脱出...なんて?」
「これは、いかに早くこの異空間から出られるかのタイムアタックなんです」
「....すまん、何いうとん?」
杉島は怪訝そうなツラで屋敷を見る
よく見ると障子は破られ、壁にはツタや苔が蔓延り、目玉だろうか。障子の奥から数多の黒目がぎょろぎょろと動いている。屋根の複数箇所の瓦は割れており、強風でも吹いたら崩れ落ちてきてもおかしくない。
「ま、分からないと思うんで説明します。ここは異空間、すなわち『パラレルワールド』です。」
「「はぁ?」」
「あー、あんまり目玉見ない方がいいッスよ」
「なんでや?」
「.....【魅せられる】んで。」
ゾクゾクと背中を刺激される。鳥肌と時間はたっていた。
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