絶対に守ると誓った幼馴染に『クビ』宣告を受けたんだが……なぜなんだ!?
立川マナ
序章
プロローグ
絶対に守る、と誓ったんだ。
忘れもしない。八年前のあの日。小二の夏……俺は失いかけたから。土砂降りの中、氷みたいに冷たくなったその肌の感触を――、背負ったその華奢な身体の重みを――、今でもはっきりと覚えている。
二度と……あんな想いはしたくない、と思った。あんな想いをさせたくない、と思うから。
だから、これからは片時も離れず、傍で守る、と誓ったんだ。幼馴染として――。
それなのに、なんでだ? なんで……。
「ハクちゃんならいい……て思うの」
「え? は……? なに……がだ?」
どういうことだ? これは……どういう状況なんだ? なんで……こんな状況になってる?
目の前には……髪も肌も濡らした彼女がいる。あの日のように。
まだ華奢で、小柄――だが……もうその身体は、あの頃と違っていて。
タオルだけ巻いた風呂上がりの身体は滑らかな曲線を描き、ふわふわと柔らかな癖っ毛は今はしっとりと濡れ、火照った肌に張り付いている。水滴の辿る胸元には、真っ白でなだらかな膨らみがタオルから覗いて……。
傍で……誰よりも近くで、ずっと見てきたはずなのに。その姿はやたら大人びて、まるで別人のように思えた。
もう小二ではないのだ、という……そんな当たり前の事実を、今更ながらに突きつけられたようだった。
「ハクちゃん……」と月明かりをたっぷり溜め込んだような輝く瞳で俺を見つめ、彼女はそっと口を開き、「まりん……ハクちゃんになら壊されてもいい」
「は……? コワサ……え……?」
まるで聞いたこともない宇宙語のように。何を言われたのか、一瞬、さっぱり分からなかった。
ポカンとして見つめる先で、彼女は……俺がずっと守り続けてきた幼馴染は、切なげに――でも、確かな眼光をその瞳に宿し、迷わず言った。
「ハクちゃんに……壊れされたい」
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