6:00

ルクセンブルク公爵のブリュッセルハウスの前。

ラーカーはただ立っていた。


「・・・・・」


ルクセンブルク公爵から見放されたのだ。


まさかそんな事をするなんて・・・・・・・・・・・・・


ラーカーは至極納得した。

ルクセンブルク公爵からレオポルドがした事・・・・・・・・・を伝えられて

ラーカーは自らの命運が尽きた事を知り、 家族から見捨てられたと言う事を受け入れた。


「・・・・・」


ラーカーの目の前にポールと立会人№266が立っていた。


「信じてくれ・・・まさか殿下がそんな事をするなんて私は知らなかったんだ!!」


泣き崩れるラーカー。


「だったら婚約破棄した瞬間に殿下を止め「違う!!」


ラーカーは遮った。


「婚約破棄なんて如何でも良い!! 私は本当に知らなかったんだ!!」

「何の話ですか?」


ポールは首を傾げた。


「・・・・・知らないならば後ろの邸の人達ルクセンブルク公爵家に聞けば良い

私からはとても口に出来ない」

「君を殺してから行くとするよ」

「・・・・・」


首を振るラーカー。

そして短剣を取り出す。


「そうはいかない」

「そうか、 立会人、 合図を」


決闘するのだろうとポールは考えていた。


「両者名乗りを」


立会人№266もそう考えていた。

だが次の瞬間にラーカーは短剣を自らの喉笛に突き刺した。


「なっ!?」


ポールはラーカーに駆け寄った。


「良いんだ・・・・・君と戦う資格は私には・・・」


ラーカーは息を引き取った。

ベネルクス王立学園のファッションリーダーを自称していた男としては

冴えない最期であった。


「・・・・・」


ポールはルクセンブルク公爵家の門を見た。


「自分の息子の始末を着けないとはそれでも親か!!」


ポールは叫んだ、 すると公爵家の門から一人の男が現れた。


「・・・貴方は?」

「当家の執事で御座います、 貴方のお怒りもご尤も、 しかしながら

最早その男には一片の情も繋がりも持って居たく無いのです」

「何故?」

「それは」




ルクセンブルグ公爵家で説明を受けている中でジャンはナンナの元に向かっていた。

ナンナの家は外側アウターエリアにあった。

普通の5階建てマンション、 この世界では高いがブリュッセルでは左程珍しい物でも無い。

しかし荒れ果てている、 とても留学生が住んでいるとは思えない。


「ナンナに関してはこちらは情報が掴めなかった、 立会人は何か知ってる?」

「いえ、 全く」

「そうかい」


立会人№715の言葉に辟易しながらもマンションに入った、 と同時に

マンションのシャッターが落ちて立会人№715と分断された。


「・・・・・」


立会人№715は軽く溜息を吐いてシャッターを破壊して中に入った。


「素手でそこまで出来るのか?」

「言ってる前に前!!」


ジャンの後ろにはそこには牙が生え揃った大男が

今にも噛みつきそうにジュンを襲っていた。

ジュンは振り返りながらバスタードブレードで大男を真っ二つにした。


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


男は叫び声を上げながらも上半身だけでジュンに襲い掛かった。


「なっ」


ジュンもこれには驚いたが即座に大男の目玉に親指を突っ込んで殴り抜け吹き飛ばし

頭を両断するのだった。


「・・・・・何だコイツは・・・」


ジュンも困惑した。

胴体を真っ二つにされてもここまでアグレッシブに動く奴は聞いた事が無い。


「・・・・・」


ジュンは立会人№715が開けた穴から外に逃げ出した、 と同時に火炎瓶が着弾し

マンションの玄関は炎に包まれた。


「あっつ!! あっつ!! あっつ!!」


そう叫びながら立会人№715が外に出て来た、 スーツを振って炎を消し一息吐く。


「お前本当に人間か?」


ドン引きするジュン。


「ふぅ、 さてとじゃあ如何しますか? 非常階段上ります?」

「まさか、 出入口は罠だらけだろうさ」

「ではどうするおつもりで?」

「安心しろ、 策はある」


ジュンはニッ、 と笑った。


「ある、 がその前に一仕事か」


バリン、 とマンション二階の窓が割れて男達が現れた。

先程の大男の様に牙が生え揃った口で前屈姿勢である、 まるで犬の様だった。


「獣人の類、 ではないな、 何らかのドラッグか?

牙が意味が分からんが、 まぁ良いさ」


バスタードブレードを構えるジュン。


「全員ぶった切る」

「ナンナが待っているのに・・・」


男達は明らかに何人か殺していると言う事がジュンには見て分かった。

にも拘らず多人数で囲ってはいるが無策である。

戦闘経験と作戦が比例していない

雑に囲うだけでは意味がない、 もっと大人数で来ればいいのに態々この数だ

そして後にも何人かいる事は間違い無い。


「立会人」

「私は協力しませんよ、 なんかヤバそうだし」


そう言って飛び上がって離れる立会人№715。


「まぁ、 私も同じ意見だがやるしかないか」


バスタードブレードを構えるジュンだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る