10
久しぶりにあった従弟、妙によそよそしかった。
「うーん、思春期かな?」
ちょっと寂しい気持ちになる。昔は本当にお姉ちゃんお姉ちゃんと言って後ろをついて歩き回っていた。その姿が可愛く、まるで本当の弟のように可愛がっていた。
「お姉ちゃん!」
「あらサーニャ!」
そんな寂しい気持ちを吹き飛ばす相手がきた。従妹のサーニャだ。彼女もまた本当の妹のように可愛がっている。
「久しぶりお姉ちゃん!」
そういってキャイキャイと手を合わせる。
「お姉ちゃん、良かったらお庭でお茶にしません?」
「それはとっても素敵! 一緒にお茶しましょう」
一人っ子のエイミーにとってこの家は弟も妹もいる楽しい家だ。毎年年に数度この家に訪れることを楽しみにしている。だが先ほどのアーサーの態度が少し気になったので、そのことを妹に尋ねる。
「お兄様ですか?」
「うんそうなの~。少しよそよそしくて」
「うーん。実は私も少しそう感じてたんです……」
サーニャの話は、最近のアーサーの態度についてだった。本質的には優しい兄なのは今までと変わりないのだが、最近は構ってくれる時間が減ったようだ。
「もしかしたら少し避けられているのかも……」
シュンと落ち込むサーニャ。
おのれアーサー、こんな可愛い妹を放って何をしてるのか!
「よし、じゃあこの後アーサーの部屋に突撃しましょう!」
「ええ――!?」
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