2.

4.

「ユウトさん、今日の予定はどうなっていますか?」

「えーと、確か畑の手入れをした後は特に何もなかったはず」

「わかりました。じゃあ早速始めちゃいましょ」

「了解」

俺はミハルちゃんの指示に従い、作業を進めていく。

「よし、終わった。とりあえずこのくらいでいいだろう。

後はゆっくり休むとするか」

「はい、お疲れさまです」

俺は椅子に座って一息つく。

すると彼女はお茶を用意してくれた。

「どうぞ」

「おっ悪いね」

俺はありがたく頂戴することにした。

ミハルちゃんも俺の隣で座っている。

「ところでさっきから気になっていたんだけどその服ってどこで売ってたんだ?

見たところ普通の村娘って感じだけど」

俺の質問に彼女は答えてくれる。

「これは私が自分で作ったんですよ。裁縫は得意なんです」

「へぇそうなんだ。すごいな」

俺は素直に感嘆の声を上げた。

すると彼女は嬉しそうな表情を浮かべている。

「そんなことないですよ。でも嬉しいな。ユウトさんに褒めてもらえて」

彼女は頬に手を当てて恥ずかしそうにモジモジとしている。

そんな仕草もとても愛らしい。

俺は思わず見惚れてしまっていた。

するとミハルちゃんは俺の顔を見て不思議そうにしている。

俺は誤魔化そうと話題を変えることにした。

「そ、それにしてもこの村は平和でいいところだよな」

すると彼女は笑顔で答える。

「はい、この村はとても居心地が良いですね。それに皆さん優しい方ばかりですし」

「俺もこの村が気に入っているんだ。皆良い人たちばかりだし、それに……」

「それに?」

彼女は首を傾げて聞いてきた。

俺は少し間を置いてから話し始める。

「それにここには君がいるしね」

彼女は一瞬驚いたような反応を見せる。だがすぐに元の調子に戻り、

「ふふ、ありがとうございます。私も同じ気持ちですよ」

と言ってくれた。

俺はその一言を聞いてすごく幸せな気分になった。

そして同時に決意した。

俺はミハルを抱き寄せると、お互いの体温を感じつつ眠りについた。

「ユウトさん起きて下さい」

誰かに呼ばれている気がする。

俺は重い瞼を開けると、そこには裸体のままこちらを見つめているミハルの姿があった。

俺は眠気まなこでミハルを見返す。すると彼女はクスリと笑みを浮かべ俺の頬に手を当てて言った。

「おはようございますユウトさん」

俺はミハルの笑顔を見て思わず見惚れてしまう。

「どうしました?」

ミハルは不思議そうに首を傾げて聞いてくる。

俺はハッとして誤魔化そうとした。

「い、いやその、なんでもないんだ」

するとミハルは少し不満そうに頬を膨らませていた。

「本当ですか?」

俺は慌てて首を縦に振る。

「もちろんだとも」

ミハルは少しの間疑うような視線を送ってきたが、やがて納得したのか微笑んでくれた。

「それなら良かったです。それより早く支度をしてくださいね。今日は村でお祭りがあるんですから」

「祭り? 一体なんの?」

俺は疑問を口にするとミハルは呆れたような顔をしていた。

「何言ってるんですか。今日は収穫祭ですよ」

俺はその言葉を聞いて思い出す。

そういえばこの村では毎年この時期に豊穣を祝うために盛大な祭りが催されているのだ。

俺はミハルに急かされ着替えると、二人で村の広場へと向かった。

するとそこでは大勢の村人たちが楽しげに談笑したり、酒を酌み交わしながら

踊ったりと皆思い思いに楽しんでいた。

俺とミハルはそんな光景を眺めながら歩いていく。

すると一人の男が俺たちに話しかけて来た。

「おおミハルちゃん、それにユウトじゃないか。二人とも来てくれたのかい」

男は村長だった。

5.

彼は人の良さそうな笑顔を浮かべてこちらを見つめてくる。

「はい、せっかくなので一緒に回ろうと思って」

ミハルは嬉しそうに答える。

俺も同じ気持ちだったので、素直に同意することにした。

「そうだな、俺もそのつもりだった」

俺の言葉を聞いたミハルは微笑んでくれる。

「ふふ、ありがとうございます」

それからしばらく三人で雑談をしていると、突然大きな歓声が上がった。

そちらを見ると、舞台の上で二人の男女が踊りを披露していた。

「おっ、始まったようだぜ」

俺はミハルと男の方へ目を向ける。

すると二人は情熱的なダンスを繰り広げている。

「うわ~凄いですね」

ミハルは目を輝かせている。

俺もミハルと一緒になって魅入っていた。

そして曲が終わり二人が離れようとした時、男の手が女の乳房に触れた。

すると女は顔を真っ赤にして怒っている様子で何かを叫んでいる。

だが、周りが騒がしくてよく聞こえなかった。

そしてそのまま口論になり、やがて殴り合いに発展した。

そして取っ組み合いになったところで、

「そこまでだ! お前たち何をやっている!」

と、声が響いた。

見ると、そこには剣を携え鎧を着た男たちが立っていた。

彼らは衛兵隊と呼ばれる組織であり、普段は王都の治安を守ってくれている。

しかし、今回はたまたま巡回中に揉め事を見つけてしまったらしい。

すると、騒ぎを聞きつけた他の者たちが集まって来て、

「なんだ喧嘩かい?」

「またあいつらがやっちまったみたいだ」

などと口々に言い合っている。

そして、そのうちの一人が声を上げた。

「おい、やめろって。これ以上やるっていうんなら、騎士団を呼ぶぞ」

すると、争っていた二人は大人しくなり、お互いに謝り始めた。

そして、その場は収まり、騒動は終わった。

俺はホッと胸を撫で下ろすと、ミハルが心配そうに声をかけてきた。

「大丈夫ですか?」

「ああ、なんとかなったよ。助かった」

俺とミハルは改めて感謝の意を伝えた後、再び祭りを楽しむことにした。

そしてしばらくした後、

「そろそろ帰らないといけませんね」

とミハルは残念そうに呟く。

俺もそれに同意した。

「ああ、そうだな。名残惜しいけど仕方がない」

するとミハルは俺の手を握って来た。

俺は驚いてミハルの顔を見る。すると彼女は恥ずかしそうに俯いていた。

俺はそんなミハルを愛おしいと思いながら、手を握り返した。

ミハルは顔を上げると、潤んだ瞳を向けてくる。

俺はそんな彼女にキスをした。

するとミハルは幸せそうな表情を浮かべ、そのまま俺の胸に顔を埋めてくる。

俺はそんなミハルを優しく抱きしめた。

しばらくして、

「あの、ユウトさん……私、まだ帰りたくないです」

と、ミハルが上目遣いで見上げてくる。

俺はドキッとしてしまう。

俺はミハルの肩を掴むと、真剣に見つめる。

するとミハルは頬を染めながらも真っ直ぐにこちらを見つめ返してきた。

「ミハル、俺は君を愛してる。だからずっと側に居て欲しい」

するとミハルは一瞬驚いたようにしていたがすぐに満面の笑みを浮かべる。

「はいっ! 喜んで」

こうして俺はミハルと結ばれたのであった。

翌朝、俺はベッドの中で微睡んでいた。

隣にはミハルがいる。

昨夜はとても幸せな時間を過ごした。

俺はミハルの頭を撫でる。するとミハルはゆっくりと瞼を開いた。

「おはようミハル」

「おはようございます。ユウトさん」

ミハルはニコリと笑う。俺はミハルの唇に自分のそれを重ねた。

「んっ……」

ミハルの口から甘い吐息が漏れる。

俺はミハルをギュッと抱き寄せた。

ミハルは俺の背中に腕を回し、身体を寄せて来る。

6.

俺はミハルの柔らかな感触を楽しみつつ、彼女の耳元に囁きかける。

「ミハル、愛してるよ」

ミハルはピクっと反応してこちらを見つめてきた。

俺はミハルの顎に指をかけるとクイッと持ち上げ、彼女の美しい双眼を見つめた。

ミハルは頬を赤くして、恥じらうような表情を浮かべている。

俺はそんなミハルに覆い被さり、

「ミハル、好きだよ」

と言って彼女の首筋に舌を這わせた。

ミハルはビクンと震え、熱い吐息を漏らす。俺はミハルの服を脱がせていく。

ミハルは抵抗することなく、されるがままになっている。

俺はミハルの肌に触れる。ミハルの白い柔肌は手に吸い付くようで、いつまでも触れていたくなる。

俺はミハルを後ろから強く抱きしめると、そのまま眠りについた。

目が覚めた時、既に日は高く昇っていた。

俺の隣ではミハルが穏やかな顔で眠っている。

俺はミハルの髪をそっと撫でると、起こさないよう静かにベッドを出た。

「う~ん」

ミハルは寝返りを打ち、仰向けになる。俺はその隙に服を着ると、起きていたミハルに腕を掴まれ、

「ユウトさん何処へ行くのですか? 私と楽しみましょ」

「いや、ちょっとお手洗に行こうと思って」

「そうなんですね。じゃあ私がお手伝いします」

ミハルはそう言うと俺の腕を引っ張って立たせ、

その後、俺たちは何度も体を重ね合った。

そして、夜になり俺とミハルはベッドで抱き合っていた。

「今日は楽しかったな」

俺がそう呟くとミハルは微笑みながら、

「そうですね。また来年もこのお祭りに参加したいです」

と、言った。俺はミハルの頭を撫でる。

「そうだな。また一緒に来ような」

「はい」

ミハルはそう返事をすると俺に抱きついてきた。俺はそんなミハルを抱きしめ返す。

こうして、俺とミハルの初めてのデートは終わりを迎えたのであった。

「ユウトさん、お待たせしました」

ミハルが小走りに駆け寄ってくる。

今日のミハルはいつもより気合が入っているようだ。

俺はそんなミハルに思わず見惚れてしまう。

ミハルは俺の視線に気づくと恥ずかしそうな表情を浮かべた。

「あの、変じゃないでしょうか」

ミハルは不安そうな顔で聞いてくる。

「そんなことないよ。似合ってる」

俺は正直に答えた。

ミハルは安堵の表情を浮かべる。

俺はそんなミハルの手を取ると歩き始める。

「あの、手を繋いでもいいのですか」

ミハルは少し戸惑っている様子だ。

「もちろんだよ」

俺は笑顔で言う。するとミハルは頬を赤く染め、俯きながら手を握り返してきた。

俺はミハルと手を繋ぎながら街を歩く。

「ユウトさん見て下さい! あれ美味しそうです」

ミハルは露店の前で立ち止まると、串焼きのようなものを指差して、目を輝かせている。

「買おうか」

俺は財布を取り出しながら答える。するとミハルは申し訳なさそうに、

「すみません。ユウトさんに払わせてしまいました」

と謝る。

「気にしないでくれ。それより食べてみてくれ」

俺はミハルに促す。

ミハルは恐る恐るといった感じに一口食べると、途端に満面の笑みに変わった。

「すごくおいしいです」

「それはよかった」

俺はミハルの喜ぶ姿に満足しながら、自分の分を食べ終えた。

その後もミハルと街の散策を続ける。

途中、雑貨屋に立ち寄るとミハルは指輪をじっと見つめていた。

俺はそんなミハルに声をかけた。

「何か欲しいものがあるのか」

ミハルはハッとしてこちらを向くと、

「いえ、そういうわけでは」

と慌てる。

俺はそんなミハルの左手を取り、

「見せてくれるかな」

と言うと、ミハルは頬を赤くして、

「はい」

と答えた。

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