匣ノ街
ソラノリル
Prologue
打ち放しの天井から首吊り死体のようにぶら下がる橙色の小さな電球を、少女はぼんやりと見上げていた。体のあちこちが痛くて、だるくて、頭がぼうっとする。背中に硬い床の感触。自分は今、倒れているのか。投げ出した手足は、自分のものじゃないみたいだ。
体の上に、何かが重く
どこへ?
床は濡れていた。弱い白熱燈の光に照らされて、それは黒く、ぬらぬらと沈んだ色をしていた。ふらつく脚で立ち上がると、どろりとした液体が少女の
(誰も助けてくれなかった)
瞬きをひとつ数え、少女は、ゆっくりと顔を上げる。すぐ側に小さな窓があった。街燈の消された外は、闇に沈んで見えない。ただ静かにこちらを見つめる子どもの姿が映っているだけ。
(大丈夫)
血
(私は、ちゃんと、戦える)
たとえ、ひとりでも。
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