黒糖〈コクトー〉から見た幽鬼+α

 一言で言うなら、「慣れてる人」


 出会ってすぐ、ゲームに慣れてる人だなってのはわかりましたよ。

 このゲームのプレイヤーには、特有の雰囲気がありますからね。変に落ち着いているし、死の気配を全身にまとわりつかせている。こちらの隙をうかがうような視線を絶えず向けてくるものの、しかし、その中に、尋常の世界では生きられなかったのだという悲壮感がわずかに認められる。

 まあ、私もあんまり人のことは言えませんがね……。とにかくそういうのがあるんですよ。

 しかも、どうやら右目を負傷しているようでしたしね。過去のゲームで作った怪我に間違いないでしょう。彼女の自称する通り、経験あるプレイヤーなのだろうと判断するのに、なんら差し支えはありませんでした。

 前回のゲームのときにも、ああいう人はいましたよ。あのときと同じように、この人についていけば問題なかろう。そう思いましたよね。


*****


幽鬼から見た黒糖

「したたかな感じの人ですね。ゲームに出るのは二回目だそうです。一回目のときには、強い人にくっついていってクリアしたみたいです。果たして、今回もうまくいきますでしょうか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る