　……いちばん大事なのは、運です。

　どんな業界もそうなんでしょうけど、なかんずく〈ゲーム〉についてはその傾向が強いと思います。世知辛い話ですけど……。

　まずはとにもかくにも、一回目のゲームを生き残らないと始まらないですよね。

　これはもう、ほとんど運否天賦ですよ。どんな種目のゲームをやるかなんて、事前にわからないですからね。生まれつきゲームのセンスがあるかとか、自分に向いてる種類のゲームにうまく当たれるかとか、そもそもゲームの難易度が簡単かどうかとか……。その辺りの天運があるかっていうのが、まず第一です。

　次に大事なのは、早い段階で〈師匠〉を見つけられるかどうかです。

　経験豊富なプレイヤーと知り合って、生き残りの秘訣を教えてもらうんですよ。なんてったって、命懸けのゲームですからね。独学で上達するには命がいくつあっても足りません。他人の失敗から学んだり、人から教えてもらったりすることが肝要です。

　要は、うまく強い人のコミュニティに入れないと生き残れないわけです。そういうところもまあ、ほかの業界と同じですよね。なーんか気に食わない感じですけど、それが事実です。

　私は運がよかったですね。三回目で師匠と出会えたので……。

　そこまでいったら、ようやく本人の努力が問われるフェーズになります。

　絶えず切磋琢磨できるかどうか。一定のコンディションを保てるかどうか。生存確率を上げるため、できることはいくらでもあります。

　まあ、そっから先も運は絡むんですけどね……。死ぬときは、どんなに頑張ったって死にます。私よりはるかに能力が高いのに、死んじゃったプレイヤーはたくさんいましたよ。そこのところはもう、運命の采配にお任せするしかないですね。

　プレイヤーに必要なものは、おおむねそんなところでしょうか……。

　……ああ、いや、違うな。大切なこと忘れてました。

　生き残れるかどうか以前に、続けられるかって問題がありましたね。命懸けのゲームで飯を食っていこうと思えるかどうか。プレイヤーをやるには、まず、そのハードルを越えないといけない。

　つまり、死生観に異常をきたしている必要があります。

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