お誕生日会PERT2


 それにしてもジーナ女官長、ティーバッグの紅茶を一目見て、レイアさんが淹れたお茶を一口飲み、違うといったのです。

「これはティーポットで淹れるようには製茶されていませんね、どんな淹れ方が推奨されていましたか?」


 ……


「なるほど、ティーカップで淹れるものですか……早くお茶が出るのですね」


 で、ご自分で飲まれたお茶のティーバッグを淹れておられました。


 そして……

「美味しいですわ♪」


 この後、カリス三姉妹をこき使って、美味しいお茶を淹れていました。


「大したものですね、さすがは王国と帝国の女官長さんです」

 感心しきりのヒロさんでした。


 誕生会は和気あいあい、エバさんの云う通り、皆さんケーキはおかわりをされました。

 おかわりしなかったのはヒロさんだけしたね。 

 結局11個残ったようです。


「美味しかったですわね♪」

「少し残ったようね、いただいて帰ってよろしいかしら?」

「構いませんがどのように分けましょうか?」


 すかさずジーナ女官長が、

「国王陛下と皇帝陛下にも、差し上げてはいかがですか?」


 ゲルダ女官長も

「ジーナさんのおっしゃる通り、両陛下に3個ずつ、クリスティーヌ皇妃様、アイリス第一王妃様、マリア第二王妃様、ヒルダ帝妃様にお1つずつ、ではいかがですか?」


 クリスティーヌ皇妃様が、

「つまり一人3個と云う訳ね」

「その通りでございます、両陛下は甘いものはそれほどではありませんので、一応形としては残り物となりますが、皆様方と同じでも、なにもおっしゃらないかと考えます」


 たしかにそうですが、

「ケーキでよろしければ、別のケーキを用意してあります」

 そう、●●トレー●さんの『キッズショート』というショートケーキ。

 これ、案外に美味しくて、子供向きの甘いケーキなのです。

 うさぎ、パンダ、とら、くま、の四種類の動物の砂糖菓子が飾ってあります。


「お一人様あたり4つ、陛下を含めて、皆様方の分、ご用意してあります」

「その上での先ほどのケーキというなら、妃殿下方が両陛下と共に持ちかえられた、という形になるかと思います」


「あら♪嬉しいわ♪陛下と食べようかしら♪マリアさん、そうしません事♪」

 ということで、残った1個は、ヒルダ帝妃様がお持ち帰りされることに決まりました。


「ところで今回はさらに、贈り物というかお土産があるのです、貰ってくださりませんか?」

「まだいただけるの?」


「こちらです、余り数が採れませんでしたのでお一人一つで恐縮ですが」

「クレアさん、持ってきてくださりませんか?」


 で、『グレートローズヒップ』が30個、テーブルの前に並べられたのです。


「これは……『グレートローズヒップ』?」

「さようでございます、ローズ・プラトー産です」

 なんせ正真正銘、幻の果物ですからね♪


「ローズ・プラトー?たしか還らずの荒野の西側にくっついていた土地よね……でも、おかしいわね、昔の地震で道が崩落、畑も壊滅したと聞かされているけど?」

「根が残っていたようで、現在かなり復活しているようです」

「とりあえず、食べれそうなものを取ってきました」


 アイリス様が、

「悪いけど、そこにあるもの、両国に半分ずつ下さらない、悪いようにしないから」

 30個の『グレートローズヒップ』は、国王陛下と皇帝陛下への献上品となりました。


 さらに、

「少し聞くけど、どれくらい収穫できるの?」

「調べましたが毎月250個ぐらい、ただ毎日パラパラと実るようですので毎日8個当たりのようです」

「では、明日になれば8個は手に入るのね」

「8個は計算上ですので確約できませんが、いくつかは収穫可能です」


 ここでクリスティーネ様が、

「全量両国に卸していただけませんか?」

「それは構いませんが、少しは家用に残しておきたいのですが?」


「それは……そうですよね……わかりました、でも『グレートローズヒップ』はよそには出さないでください」


「ねえ、アイリス様、それでいいでしょう?」

「クリス様、そう致しましょう、ただ『グレートローズヒップ』はこの『親睦会』の扱いとしませんか?両陛下に認めて頂くのは少し骨が折れますでしょうが?」


「そうね、皇帝陛下は、私とヒルダさんがなんとでも言いくるめて見せますが、国王陛下は大丈夫ですか?」

「大丈夫と思いますよ、ね、マリアさん」

「確約しますよ」


 この会話、怖いですよね……国王陛下も皇帝陛下も、『尻に敷いている』といわんばかりのお言葉ですよ……


 結局、毎日実った物を私が収穫し、3個ずつ、王国と帝国へ治めることになりました。

 メッセンジャ―ついでに、クレアさんとエバさんが配達してくれます。

 卸値が一個50ランドです。


  

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