砂金?


 翌日、朝は100円弁当を取り寄せ、食べている二人。


「クレアさん、ご飯は口に合わないのでは?」

「クレアと呼び捨てでお願いしますね♪昨日、婚約?の祝いのお弁当を頂きました、美味しかったですよ、だから大丈夫です」


「ところで、このお弁当、いかほどなのですか?」

「大体1ランド43セントぐらいと思います」


「その値段でこれですか……十分ではありませんか?」

 白ご飯に、甘辛く味付けされた鶏肉と野菜炒めがのっている丼タイプ。


 やはりクレアさんはお肉が好きのようです。


 一応、税抜93円の沖縄そばがお汁代わり、84円の野菜天ぷらがトッピングされています。


「このスープヌードルは?」

「たしか1ランド33セント、上のフライは1ランド20セント」

「計算が速いのですね♪」

「数学は得意な物で♪」

「まあ、素晴らしいわ♪」


 何のかんのと、ゆっくりとお弁当を食べ、クレアさんがゴミをベランダのゴミ箱へ捨てに……


「でも、この容器、捨てるのですか?いささかもったいないように思いますが?」

「たしかに私の世界ではリサイクルするときもありますが、費用の問題で大概は捨てるのですよ、今日はこのまま捨てましょう、これは後でゆっくりと話し合いましょう」

「そうですね」


 二人で外にでて、云われた川を浚いに行くと……


 小さい川の浅い川底に、さらに深いくぼみがあり、キラキラと黄金色の物が、ぎっしりと見えたのです。


「砂金?まさかね、黄銅鉱、でも……角張っていないし……」

 金は1立法センチメートルあたり19、3キロでしたか……


「ヒロ様!これは金ですよね!」

「砂金と思う……私たちの婚姻に対して、神様のお祝いです、これでクレアの輿入れに対してのお金といわれておられます」

 

「砂金は普通流されるもので、湾曲している砂礫層などにたまると聞いていますが……こんなに露骨に砂金が見えるなんて……本来あり得ない……」

「だからこれは、神様からの下され物ですね、最高品質の砂金、純度99.9パーセントの純金と思われます」

 後日わかったことですが、確かに純度99.9パーセント、あり得ないほどの砂金でした。


 二人でせっせと砂金を集めること、なんと12時間!


 くぼみはほぼ直径2メートルの円形で、砂金は1センチほど堆積していました。


 体積100×100×3.14×1で31,400センチ立米!したがって重さは31,400×19.3、つまり金が606,020グラム!


 たしか神様が金をグラム7,000円としていましたね。

 4,242,140,000円!計算間違った?……


 計量器が無かったので、1グラム単位で、5キロまではかれるデジタル計量器、税抜1,000円のものを取り寄せたのです。

 ポリ袋に1キロずついれ、606袋!最後の20グラムを入れたときには、日が暮れ、午後の10時すぎでした。


 銀の価格から計算すると、いちばん小さい金貨、100ランド金貨というのは、14金でこの世界では黄銅鉱が58パーセント入っています。

 つまり金は42パーセントしか入っていません。

 この世界の金貨は全て14金らしいのです。


 100ランド金貨の金の含有量は0.7グラム、黄銅鉱は0.966グラムとなりますね。

 24金のインゴットが1グラムあれば、100ランド金貨と10ランド銀貨三枚と交換と決まっています。

 142.851ランド分を130ランドで交換、12.85ランド、約9パーセントが手数料というわけです。

 

 これでは誰も交換なんかしない訳で、違法な両替屋が繁盛するわけですね。

 大体、24金のインゴットが1グラムあれば、100ランド金貨と10ランド銀貨三枚の正規の交換ルートに5ランド銀貨一枚追加が相場のようですね。

 こちらは手数料が7.851ランド、約5.5パーセント……


 つまり純金のインゴットは135パーセントアップの現金となるわけです。


 この闇ルートで換金すると……1キロ袋は、

 100枚の1000ランド金貨、300枚の100ランド金貨、100枚の50ランド銀貨……


 200グラム袋が、

 20枚の100ランド金貨、50枚の10ランド銀貨、40枚の5ランド銀貨……


「さすがに疲れた……そういえばお昼も食べていませんね……なにか作る元気もありませんので、簡単な物で勘弁してください」

「私も……途中トイレに行ったきりです……」


 くたくたになった二人は、朝と同じ物を食べ、すぐに寝てしまったのですね。


 本日分のお給料として、使い切らなかった1,000円分と本日のお給料、10ランド銀貨二枚と1ランド銀貨四枚、5セント銅貨五枚、1セント銅貨三枚が、日が変わると供に『収納の財布』に入っていました。

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