夕食はなんにする?
収納には、本当にヒロさんの所有物のすべてが入っていました。
さらには、実家の荷物も全て……ただ車やバイクはありませんでしたね。
「なんともね……ばあちゃんの物まで入っている……」
「えっ、ゴールドバー?」
ヒロさんの相続した動産が、全て現地通貨になって収納に入っていたのです。
お金持ちだった両親、相続したのは税金に取られたものを除き、なんと520キロもありました。
不動産は別なのですよ。
ランドにすると1グラム100ランドですから、5,200万ランド。
1000ランド金貨52,000枚が入っていました。
「有難いですが、よっぽどでなければ使えませんよ……両親の遺産ですから……」
「あれ、私の通帳の預金も入っているの?」
某都市銀行の預金、46万円ほどで、6571ランド42セント分、切り捨てですけどね。
100ランド金貨65枚、1ランド銀貨71枚、1セント銅貨42枚……
「よかった♪これなら、この世界で仕事が見つかるまで何とかなりそう♪」
「せっかく治療魔法をいただいたので、治療院をすれば生活できるかな?」
「ヒロ殿は治療院をするのか?」
「あっ、起こしましたか?すいません、はしゃいでしまって……」
「なにか、良い事でもあったのかな?」
「いや、神様が前世の私の貯金を、こちらの通貨に換えてくださって、治療魔法をお授けいただいたので、治療院などすれば、何とか生活出来るかと考えていたのです」
「いくらなのか?」
「6571ランド42セント」
「なんとか王都で、小さい家が買える金額だな……ヒロ殿の治療魔法なら、夫婦二人で暮らしていけるだろうな……」
えっ、46万円で家が買えるの?
それより、
「夫婦二人?」
「あぁ、ヒロ殿が妻を娶っても、やっていけるという事だ」
なぜかクレアさん、少しばかり赤くなっていますが、そこは超鈍感なヒロさん、額面通りに取っているようです。
「妻ですか……私、もてたことがなくて……このとおり、運動もできなくて、あまりパッとしない容姿ですし……」
「妻がいなければ、これも何かの縁、私が嫁いでもいいぞ♪冗談だがな、しかし無事に実家に帰れれば、妻ぐらい紹介してやろう」
「その折にはお願いします」
「任せておけ!」
還らずの荒野にも陽が沈んでいきます。
この住居にも窓があり、ベランダがあります、そこから景色が見えるわけです。
窓を開けても、冷気は入ってきませんが、見るからに寒そうで、強風と云うより暴風が吹き始めています。
「クレアさん、外は寒そうですよ……野営していたら大変な事になっていますよ」
「そうだな……ああ、雪がまじり始めた……ヒロ殿に拾われなかったら……凍死間違いなしだった……」
「ところでクレアさん、なにかお好きな食べ物はありますか?」
「夕食の話しなのか?結構頂いているので空腹では無いが?」
「ではお酒はお好きでしょうか?」
「嗜むが……嫌いでは無い……」
「なら、私にお付き合い願えませんか?寒いからお鍋をつつこうかと思うのですが?」
「お鍋というのは何か分らぬが、ヒロ殿がつきあえというなら、つきあうぞ♪」
つきあうという言葉を誤解しているようなクレアさんです。
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