落とし物 フルバージョン
帆尊歩
第1話 ピアス
今日ピアスを買った。
正直買うつもりも、買う義理もなかったが、さすがにお店で、目に入るとね。
それも三百円だ。
ピアスを買う羽目になったことを、不幸というなら、不幸はピアスをあまりに偶然に見つけることが出来た事かもしれない。
目に入らなければ、探すつもりも、まして、買うこともなかった。
でも三百円だ。
仕方なく、買うことにした。
カウンターにもって行くと、
「プレゼントですか」と言われる。
男の僕がピアス、イヤ今時は男でもピアスをするけれど、このデザインは確かに女性向けで、さらに二十代向け、プレゼントと言われても仕方がないが、三百円だぞ。
こいつは三百円の物をあげるのか、せこい男と思われているのかと思うと、プレゼントですかと言われることが、嫌みのように聞こえる。
何はともあれ手に入れた。
義理はないとは言いながら、ちょっと良いことをした気になっていた。
一人暮らしの僕がなぜ二十代位の女の子がつけるようなピアスを買ったかと言えば、必要に迫られてだった。
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