第3話 ご褒美でしか無い ええだけ飛ばしてきた
「やっぱ平日 車が少ない 飛ばせるわ」とペースアップ 滑るのも気にしない
鷲ヶ岳の駐車場で 整理員のバイトに 氷よりも冷たい目で見られて
「そこ」の一言と指を刺されて 案内が終わる
オープンだと、もろに目が合うんだよな
モービルで呼んでみても、レスがない だいぶ離れたみたいだ
「栄子ちゃん 着いたよ よだれ拭いて コーヒーに行こう」と誘う
「寝てた 着いたのですか」
「帽子を脱いで襟巻き外して インカム外して と」ナビ側に周りサベルトを外す
フルバケから出るのに手を貸して 帽子や毛皮類を仕舞い
屋根を〆て窓も〆て 上着をフルバケに放り込み スキー場の喫茶店に向かう
ハンディの430を腰に付けて スピーカーマイクは左肩につける
「あれ、今のほうが寒い」
「そりゃ あの帽子に毛皮類 ヒーターで温まっていたんだ なくなりゃ寒い」
「フェイクファーでも やっぱり 温かいですね」
「本物の佐賀県産の銀狐とミンク 帽子も本物のアライグマ 温かいって」
「はい??」ってなってる栄子ちゃんを連れて
茶店に入り、ゆっくりとコーヒーを飲む ケーキも付けてあげる
「毛皮と佐賀県 意味が解らないのですが」栄子ちゃん
「俺も良く解らないんだよ でも SAGA ってローマ字で書いてあるだろ
女の娘を乗せる となって寒いといけないから襟巻きの一つも買うかと」
「それも 準備 完璧ですね」
「でさ、女性用の襟巻き 何処で売ってるかも不明でさ 慌て蓋めいて
東京の知り合いのトコ行ったら なんでだって訊かれて
NAでスキーにオープンで行くと説明したら
寒い時期は銀狐が良い、ミンクは毛足が短いから早春だな とか詳しいんだ
九州の佐賀県産が世界的に有名なんだと教えてくれて 店も案内してくれた
店員さんに 銀狐とミンクの襟巻き と ミンクの膝掛けを出して貰った
店長も来て 佐賀県産の中でも このSAGAのタグは良い毛皮にしかつかない
このタグの中から選べば間違いないって って教えてくれたからきっと良いもの」
スピーカーマイクから「こちらJM2XXX 矢田だ 大円 聞こえるか」
「こちらJN2XXX 大円だ 矢田か テラス側の茶店でコーヒー飲んでる」
「もう20分くらいで着く」
「了解 待ってる」
「え、もう30分以上はここでゆっくりしてますよね
矢田さんだって雪道に慣れてるはずなのに30分も千切ったのですか」
「チェーン巻くのに15分は掛かるし 圧雪のワインディング
チェーンのクラウンワゴンには苦痛だろうが
ミシュランの最新スタッドレスを履いて足もスノー仕様なNAのダート屋
ご褒美でしか無い ええだけ飛ばしてきた」
20分後 待ち草臥れて栄子ちゃんが寝てしまっていた
30分後「こちらJM2XXX 大円 もうすぐ駐車場だ」
「了解 そっちに向かうわ」と栄子ちゃんを起こし会計して 駐車場に向かう
平日とは言え、駐車位置で50台分くらい離れてる
涼子さんが「座ってるだけも雪道って疲れるわね コーヒーにしましょう」
美沙さんも「結構揺れて怖いのよね」
まっとうな意見だが、栄子ちゃんが
「揺れもなく暖かく 爆睡して気がついたらここで コーヒーも奢って頂いたので」
爆弾を投げてしまう
「はい??」
やばいと矢田とアイコンタクト
「栄子ちゃん 俺と滑りに行こう 板も靴も届いた」
「行きますか 案内します」
「靴履き替えてくるわ」とNAに向かいスキーブーツに履き替え グローブを持って
スワンズのゴーグルを嵌めて 矢田の車に戻ると 栄子ちゃんも準備完了
板とストックを受取り、二人でゲレンデに向かう
「靴見た エキップだった 板がOLINのモーグル用の881の190
ビンディングも エキップ 11まで締め込んでた 素人の道具じゃないわよ」
一番スキー歴の長い元国体”愛知代表”で、お局様の涼子さんが道具を見分していた
「あーなんか地雷原に着た気分 教えてあげるって上から目線で言っちゃったし」
矢田は矢田で、俺がコケてる処を颯爽とを予定していたらしい
栄子ちゃん 3回目でまだボーゲンが辛い時期で初心者コースを案内してくれた
「ちょっと触っていい」と確認して
重心位置とかお尻と踵の関係とかを修正してあげる
しばらく見てると だいぶ良くなる 長野親父の言うとおりだ
「ターンの時に内足の踵を上げるの つま先は付けたままの感じで
外足のスキーブーツに全体重を乗せちゃう 大丈夫なように出来てる
スネをブーツに乗せちゃえばいい」
立ったままで ほら、こうやっても大丈夫でしょ
そうすると自動的に曲がってくれる
長野親父の解説をそのままする
30分くらいで パラレルもどきまで着た
中央ゲレンデのリフトに乗って中級者用に行ってみる
栄子ちゃん そこそこで転ばず 一本を降りてきた
コブがなくて暇なので 次の一本で リフト乗り場の前で片足の板を外す
そのまま、二人でリフトに乗って登る
「大円さん 板が片方ないのですが」
「うん 置いてきた この斜面なら片足で行けるし」
「はい??」
「荷重移動の見本だよ」
リフトを降りて 「行くよ」と声を掛けて 片足で滑る
栄子ちゃんは頑張って着いてきて「凄い凄い 大円さん 凄い」
「うーん ネタで滑るとバカにされて凹むが スキーで滑ると褒められる」
「大円さん そのネタ 滑れる人が言えば面白いです」
ネタを褒めてられて 木に登りきって椰子の実をもいでいると
矢田達が中央ゲレンデのリフトに来る
「2〜3本ここ滑って コブ行きますか」
「コブ??」
「だってコブがないと飛べないし」
「飛ぶ??」
「飛ばないと技も出来ないから」
「技??」
「大円さぁ お前昨シーズン 何日スキーを滑った」
朝の反省をして、キチンとスキーの滑った日数に限定して 矢田が訊いてくる
思い返して「冬から春で70日位しか滑っていない」
あれ、その朱鷺を見る目は何?
「だって 長野親父が言うには最低が40日らしいぞ 初心者だから+30日間」
「今シーズンは 今日で何日目だ」
指をおって数えて「23日目」と正直に言う
もう、ニホンカワウソを見る目になった
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氷よりも冷たい目で見られて
もう本気で視線が冷たかった こんにちわ の挨拶も無視され
口も利いてくれなく 関わりたくないが全面に出た顔
こっちは遮るものが何もない フルオープンだ よく見えるんだぞ
酷くないか スキー客だぞ なのでここは実名で
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