番外編「時間のねじれのためのボツ」

 ちょっと高めの散髪屋を予約した。


 さて、時を少し戻そう。

「ウホ! (真っ赤に血塗れた石斧と、左薬指だけが切り取られた死体が転がる焚き火後! この猟奇的童貞連続殺人事件の犯人とは!? そして、次の犠牲者は!? 次回! ウホ之内 死す)」

 あぁ、も少し左だ。

「ウ! (ふん。相棒、誰が背中がら空きだって?)」

「ホ! (ったく。そりゃ裏を返せば俺がいないとなにもできねーってことになるが、いいのか?)」

「ウ! (霧に妖狐の嫁入りが降るようだろ?)」

「「ウホ! (さっくりいこうぜ!)」」

 ……すまない。左チャンネルはタイム・バックだったな。いや、この歳になると、物忘れがひどいしな。右に回してくれ。今度こそ大丈夫なはずだ。

「やぁやぁ、迷える子山羊さん。」

 そうそう、これこれ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ナルキッソスとそれから 梶浦ラッと @Latto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ