第9話 『 LOVE YOU!』

9.

" 波紋 Ripple 9 " 




 「お母さん、いろいろとありがとう。私ね、難病だからってくじけない。

自分なりに自分の病気と向き合ってどうやったら一日を一番いい方法で

過ごせるか探って、少しでも身体をいい状態にしてあげたいって思ってるの」



「あらまぁ~、なんか他人ひとの身体のことを話してるみたいな

セリフね」



 「ふふっ、この身体は私のものでもあるけど、一方で神様から託された

身体でもあるんだもの」



 「へぇ~、神様・・そうよね、確かにそうとも言えるかも」


 「大きな病院へ行くとね、普段見えなかったものがいろいろと

見えてきて、そう思ったのよぉ~」


 なんか、照れ隠しで最後の語尾はおちゃらけてしまったけれど

私の本心だった。そして何より私の言葉を母親が肯定的に受け入れて

くれたことが嬉しかった。


 

「いっぱい人生を楽しもうって、限りある時間の中で悲しみや怒りに

多くの時間を割くなんて勿体無いなって思った。そりゃあ生身の人間だから

落ち込んだり打ちひしがれたりしてナーバスになることだって避けて

通れないと思うけど、だけど全力で強い意志力でそういうの撥ね退けて

・・自分を喜ばせたり、楽しませたりって前向きな方向へ引っ張って

いかなきゃって思うの」


 9-2.


 パチパチ~、、母の拍手があった。


 「私、香ちゃんを尊敬する。香ちゃんが子供だった頃から時々ね・・

香は私なんかより数段霊格の高い魂を持って生まれてきた人間なんだ、って

感じることがあったんだけど、やさぱり私のそういう予見みたいなもの

あたってたんだなぁ~って思ったわ」



「えーっ、なにぃ~なに、それ~~きゃぁ~止めてぇ~恥ずかしい」


 「ほんとなのよ?

小学生の頃から香にはそういうところあったのよ、と言っても

訳の分からない病気が辛いことは変わらないと思うけど

とにかく、一日々なんとか良い方に向かうよう栄養のあるものを食べて

情報もいろいろ探して頑張ろう、香。


 何があっても香には私やお父さんが付いてるんだから

大丈夫だからね」


 「うん、ありがとう。

 頼りにしてます」

 

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