7. 使用人とハンカチ
7. 使用人とハンカチ
オレは女神様ことマリアさんに助けてもらい、何とかクビにならずにすんだ。さっきのマリアさんすごく可愛かったなぁ……あの笑顔がオレにとって大きいよ!
そんなことを考えながら、軽い足取りで庭に向かう。庭の手入れめちゃくちゃやる気出てきたぜ!
「お待たせしましたー!」
「おおカイル。今日も元気じゃの。では早速始めようかの」
この人は庭師のロダンさん。いつもニコニコしてる優しいおじいちゃんだ。元冒険者だったらしく、歳を感じさせないほど体が鍛えられている。その分知識と経験は豊富だ。
「よろしくお願いします!」
まずはいつも通り草むしりから始める。これがまた体力使うんだよね……。しかも面倒だし。黙々と作業しながら、ふと横を見ると。20メートルくらい離れたところにオレの嫁ことマリアさんの姿が見える。
「えぇ!?マリアさん!?」
マリアさんはオレの声に気付いたのか、こちらを見て微笑みながら小さく手を振ってくれた。やばい、超可愛いんですけど!!あんな笑顔見たらテンション上がって急いでマリアさんのところまですぐに草をむしっていけるぜ!
するとマリアさんの方に気を取られていたせいか、手元が狂ってしまったようだ。誤って鎌で指を切ってしまう。
「いてっ!!」
血が出てきた。痛えぇ……。とりあえず止血しないと……。するとその様子を見たマリアさんが駆け寄ってきてくれる。走り方も可愛い!
「大丈夫カイル君?」
「少し指切っちゃっただけですから、大したことないですよ!はは!」
そう言いながらも、痛みのせいで涙目になっているだろう。情けない姿を見せてしまったな……。でも心配してくれて嬉しいぞ!
「ダメだよ。見せて」
マリアさんがオレの手を取り、じっくりと見てくれる。手を握るなんてご褒美スイーツですかこれ!?しかもマリアさんは身長低いから谷間が見えてるよ!見えてはいけないものが見えている気がするのですがそれは!!
「……う~ん……。ちょっと深いかな?結構切れちゃってるね……手当てしないと……」
マリアさんはポケットからハンカチを取り出し、オレの傷口に巻いてくれた。そして救急箱を持ってきて、中に入っていた消毒液をガーゼに染み込ませると、優しく拭き取ってくれた。
「はい、これでよしっと!」
「あ、ありがとうございます……」
「どういたしまして」
はぅわぁぁぁああ!!!なんという至福の時間なんだこれは!!まさかこんな日が来るとは思ってなかったよ……。マリアさんマジ天使!女神!オレの嫁!
「そういえばマリアさんはなんで庭に?」
「また?私もお庭のお手入れのお手伝いの仕事だよ。」
マジ!?それが分かってればずっと一緒にいれたのに!無駄な時間を過ごさずに済んだのにぃ!!マリアさんとの時間は一秒たりとも無駄にしたくない!
「じゃあ続きやろうか、ロダンさんに怒られちゃうし」
「はい!頑張ります!」
そしてマリアさんは戻っていく。ああ……マリアさんの手の温もりが消えていく……。もっと握っていたかった……。でも仕事だから仕方がない。切り替えよう。それにマリアさんのハンカチ……心なしかいい匂いがするし、あー幸せだなぁ。
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