第32話 悪夢?
気がつくと、夏休み最終日。宿題はまだ終わっていない。担任の島田に宿題は計画的にやれとあれほど言われたのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
拓真は現実逃避をするため、テレビゲームを始めた。
「よし、今日中にクリアするぞ」
塔の見える街でラスボスを倒すための準備をしている。
「まずは武器と防具を強化してステータスを底上げしよう」
装備品のレベルが最大になった。
「次は持ち物チェック。いらない物は倉庫に預けて……てか
バッグの中はせこいチーズでいっぱいになった。
「よし、やることはやった。いざビボレの塔へ」
勇者たちは街を出て、雲に届きそうな塔へと向かう。
塔に着いてからはひたすら登るだけだった。
道中の敵も難なく倒していき、やがて塔の
「この扉の先に、ラスボス……ガラチネがいる。……よし、いくぞ」
ギギギギギィーー。
重たい扉を開けると、ガラチネが玉座の前で仁王立ちしていた。
その姿を見ていると、気付けば目の前でAボタンを押していた。
『よく来たな勇者よ』
「やべっ! セーブするの忘れた!」
『やることはやったという顔をしておるな。だが本当にそうかな?』
『どういうことだ?』
『今に分かる。さぁ、
「何この始まり方」
勇者たちとガラチネの戦闘が始まった。
「まずは防御力アップの呪文で様子を見よう」
『ディフェンディオ』
勇者たちの防御力が2倍になった。
ガラチネの攻撃。勇者たちに100億ダメージを与えた。
勇者たちは全滅した。
「はっ!? どういうこと!?」
『貴様たちにこの塔はまだ早い。消え失せろ』
目の前が真っ暗になった。
「うわっ! なんだ夢かぁ……」
拓真は目を擦りながら起き上がった。
「てかなんで夏休み最終日? それにあのゲームは何?」
少し時間が経ってだんだん頭がスッキリしてきた。
「そういえばあれだけ準備したのに瞬殺されたよなぁ。ボスもなんか言ってたし。もしかしたらあの塔に行く前に他にやらなきゃいけないことがあったのか」
(・・・・・・)
「なるほど、そういうことか」
拓真はあることに気がついた。
「塔に行く前に先にやらないといけないことがあった。つまりゲームをやる前に宿題を終わらせとけってことね」
夏休みにゲームをやりまくる予定の拓真は元々そのつもりだったが、夢を見たことで改めてしっかり計画を練ろうと思った。
「転ばぬ先の杖ってね〜」
*
今日は1学期最後の授業——ほぼレクリエーション——があるが、午前中だけで終わるため午後は自由だ。
拓真は明後日から始まる夏休みのため、午後から作戦会議を開くことにした。
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